晴れて新卒学生の採用がひと段落し、入社式もとどこおりなく終え配属も決まり、いよいよこれからというときに、「新入社員に気になった点を叱ったら来なくなってしまった」「新入社員がすぐに辞めてしまった」「新入社員とうまくコミュニケーションがとれない」といったことはありませんか?
面接のときは、明るくコミュニケーション力があり精神的にも強く見えた社員が現場になじめず、逆に「なぜあんな人材を採用したのか?」「もっと丈夫なタイプを配属してほしい」など面接時の印象とは真逆のクレームが人事に届き、頭を抱えてしまった採用担当者も少なくないと思います。
実際、いかに優秀な頭脳を持っていてもストレスに弱いタイプの社員は職場で力を発揮することが難しいものです。新入社員のメンタルヘルス問題や早期離職が多い企業は、採用選考時の重点指標に「ストレス耐性」を加える必要があるかもしれません。
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ゆとり世代VS氷河期世代
もっとも近年は、冒頭のようなケースが一企業だけに起こっているのではなく、全体的な傾向のようです。一つの理由として若者の意識の変化がよく指摘されています。昨今の20代社員は俗にいう「ゆとり世代」。教育において競争があまりない環境で育ってきています。
しかし、指導する上司や先輩の世代は氷河期・超氷河期という厳しい競争を潜り抜けてきた人材です。この世代間の意識のギャップが影響している可能性を考慮する必要があります。もしかしたら自他ともに厳しい傾向がある氷河期世代の指導は、今の若者にとってストレスの要因になりやすいのかもしれません。
近年、企業のマネジメントスタイル自体が、トップダウンからコーチングを重視するような育成型にシフトしています。人事担当者は、若手社員のストレス耐性についての問題解決にあたると同時に、指導する側の社員に対しても育成能力や最新のマネジメントスキルが身につく研修などを行う必要があると言えるでしょう。
適性検査の「ストレス耐性項目」の重要性について
企業としては、せっかく入社した新入社員が、ストレスが原因で休職や早期退職をしてしまうと困ります。そこで、採用時にストレス耐性をチェックして選考することが非常に重要となります。ストレス耐性を測る手法として、圧迫面接、グループ面接、業務体験型インターンシップ、適性検査などがあります。
ただし、圧迫面接や一部の体験型インターンシップに見られるような過剰な負荷を学生に与える手法は、近年の常識では「パワハラ」と判断される可能性がありおすすめできません。したがって面談と適性検査を活用してストレス耐性を見極めることになります。
適性検査のストレス耐性チェック項目例
・ストレスを感じやすい性格傾向
・コミュニケーション能力
・ストレスコントロール力
・現在のストレス状態
採用担当者は、上記のような適性検査項目の数値をベースに面談で効果的な質問を行い、自社で力を発揮できる人材を見極めていく必要があります。面談だけで人の本質を見抜くことは容易ではありませんが、優れた適性検査を活用することで、ストレス耐性の判断はスムーズになるでしょう。
採用時にストレス耐性をチェックすることは将来のメンタルヘルスリスクを軽減することはもちろん、本人にとっても企業にとっても大きな損失となる、ミスマッチによる早期離職を減らすことにつながっていきます。