ストレスチェック制度の課題と対策、活用方法を解説!

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「アドバンテッジJOURNAL」編集部

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2015年の労働安全衛生法改正に伴いスタートしたストレスチェック制度は、約80%の企業で実施されています。本記事では、ストレスチェック制度を企業がどのように捉えているのか? 現在のストレスチェック制度の課題は何か? 課題への対策、活用方法などをご紹介します。

ストレスチェック制度の効果は? 企業の本音は?

ストレスチェック制度が施行されて約3年、実際の効果はどのくらい出ているでしょうか?

株式会社エン・ジャパンが2017年にインターネット上で行った「メンタルヘルス意識調査」によると、メンタルヘルス対策を実施している企業は全体の59%。そして、メンタルヘルス対策を実施している企業が、有効な施策として挙げている1位が「ストレスチェック等による状況把握」です。2位が「産業医の設置」、3位が「労働環境改善」と続きます。※回答数: 697社

ときに「意味がない」「効果がない」と批判されることも多いストレスチェックですが、企業側から見ると、職場のメンタルヘルス対策に有効と考えられているようです。

しかし、ストレスチェック制度に「意義がある」と回答した企業は46%であり、制度そのものに対する信頼度は、まだそれほど高くない状況にあることもうかがえます。

ストレスチェック制度の課題

では、企業から見た現在のストレスチェック制度の課題とはなんでしょうか?その前に、まずストレスチェック制度の目的を再確認してみましょう。ストレスチェック制度の大きな目的は、おもに以下の2つです。

■目的

1.従業員自身のストレスへの気づきを促しメンタルヘルス不調を未然に予防
2.ストレスチェックの結果を活用した職場環境の改善

もともとの目的が従業員や企業の「気づき」であるとすれば、一定の意味があったと言えます。しかし、「職場環境改善」という点に関して、2018年の厚生労働省の調査によると集団分析を実施した事業所はまだ51.7%。半数近くの企業が職場環境の改善には着手できないでいることがわかります。

2015年に東京経営者協会が実施した「ストレスチェック制度に関するアンケート」では、会員企業の半数以上が、ストレスチェック制度を実施する際の課題として「産業医・外部機関との連携」「実施体制」を上げています。※回答数:204名

実際に導入後の現場では、高ストレス者が出ても医師との面談までに時間がかかったケース、従業員に面談を拒否されたケース、従業員が人事評価への影響を懸念して正直に答えないケースなど、様々な課題が浮上しています。

■現状の課題

・集団分析を行わず職場環境の改善まで至っていない
・産業医・外部機関との連携ができていない

ストレスチェック制度に対する今後の対策は?

では、現在のストレスチェック制度の課題を解決するにはどのような対策が必要でしょうか?まずは従業員に対して、ストレスチェックで高ストレス者と判定されても当人に不利益となるような措置は取らないということをしっかり伝えることが肝心です。

そのうえで産業医やカウンセリングサービスなどを提供する外部機関との連携を積極的に行うことが大切です。近年は、WEB上での医師との面談や、メールを活用したカウンセリングなど従業員にとって心理的負担が少ないサービスも増えています。

従業員に実際に利用してもらえるかという視点で選ぶことがポイントです。現在は努力義務であるものの、根本的な問題解決のためにはストレスチェックの集団分析を行う必要があります。

■今後の対策

・ストレスチェックの秘匿性を周知
・産業医・外部機関との連携
・集団分析の実施とデータの活用

ストレスチェックのデータを徹底的に活用しよう!

メンタルヘルスの問題を解決するためには、「そもそも、なぜメンタルヘルス不調者が増え続けているのか?」という理由を把握する必要があります。時代背景、長時間同じ姿勢でPCを見つめる環境、仕事の高度化などの要因もあるでしょう。

また、昔もいまも人間関係のストレスは最も心をむしばむ要因だと言っても過言ではありません。いずれにせよ、原因の特定があいまいであれば、有効な対策を立てることはできません。

ストレスチェック制度で得たデータを分析し、各職場の傾向を可視化することは非常に大切です。分析には厚生労働省が無料で提供する「仕事のストレス判定図」というツールが利用可能です。

また、質問項目の設定段階から外部機関などの協力も得て、プロの知見によるアドバイスを受けながら、結果を多方面に活用していくことも可能です。

■ストレスチェック活用例

1.ストレスチェックの結果をもとに優先順位をつけてラインケア研修、セルフケア研修を実施

2.ハラスメント対策に活用
パワハラ、セクハラなどの各種ハラスメントは、メンタル不調や離職の大きな原因でありながら、実態の把握が難しい問題です。ストレスチェックにハラスメントの項目を入れることで、職場の実態把握に役立てることが可能です。

3.生産性向上の指標として活用
ストレスの度合いとともに、働きがいやエンゲージメントなどが測定できるストレスチェックもあります。職場ごとの従業員の意欲を可視化できるため、各部門の状況を把握するツールとして有効です。また、エンゲージメントの高い組織風土に改革する必要性を経営者や現場に提案する際の根拠として利用可能です。

まとめ

近年は多くの企業が、従業員満足度向上、エンゲージメント向上など、従業員の生産性にフォーカスした施策を行っていますが、メンタルヘルス対策はその根幹の部分に位置する施策だと言えるでしょう。

ストレスチェックの結果は、職場環境改善はもちろん、生産性向上につなげていくことも可能です。年に1回以上必ず行う必要のあるストレスチェックだからこそ、データを徹底的に活用していくことが合理的だと言えるでしょう。

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【筆者プロフィール】

「アドバンテッジJOURNAL」編集部

「アドバンテッジJOURNAL」編集部
導入企業数3,140社/利用者数483万人のサービス提供実績と、健康経営銘柄に3年連続で選定されたアドバンテッジリスクマネジメントの知見から、人事領域で関心が高いテーマを取り上げ、押さえるべきポイントやつまずきやすい課題を整理。人事担当者や産業保健スタッフの“欲しい”情報から、心身のヘルスケアや組織開発、自己啓発など従業員向けの情報まで、幅広くラインアップ。「ウェルビーイングに働く」ためのトピックスをお届けします。

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