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育児と仕事の両立支援 企業の取り組みは?

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「アドバンテッジJOURNAL」編集部

「アドバンテッジJOURNAL」編集部

女性活躍推進の観点から多くの企業が子育てと仕事を両立しやすい環境づくりを目指し、育児休業制度、時短勤務制度等の制度面を充実させ、復職の支援をしています。その成果もあって、2009年まで40%前後だった第一子出産後の就業継続率は年々増加し、2010~14年の調査では53.1%と半数を超えるまでになってきました。

出産前有職者に係る第1子出産前後での就業状況

また、次世代育成支援対策推進法に基づき、厚生労働省の次世代育成支援認定マーク「くるみん」「プラチナくるみん」を取得する企業も年々増加しています。

企業の代表的な取り組み

前述した通り、出産後も仕事を続けられる女性が増えている一方、子育てと仕事の両立に悩む方も多く存在します。そこで、両立を実現するために、企業が行っている育児中の社員への代表的なサポート制度や内容の取り組み例を紹介します。

施設 ・社内保育所、社内搾乳室
・サテライトオフィス
制度 ・病児ベビーシッター法人契約
・在宅勤務制度
・時短・時差勤務制度
・子の看護休暇制度
・リモートワークの導入
・年次有給休暇の1時間単位での取得可
・保育料の補助
セミナー等 ・産休前セミナー
・復職前セミナー
・育児休業中の従業員向けニュースレター配信
・育児休職者と子育て中の社員との座談会

時短・時差勤務制度や子の看護休暇制度など、保育園への送り迎え、子どもの突発的な体調不良などに柔軟に対応できる勤務制度は、最初に検討すべきことでしょう。また、社内保育所や搾乳室のような施設面での支援環境を用意することで、育児休業を早めに切り上げて復職する社員もいます。

一方で、各種施設や制度を用意するだけでなく、利用しやすい風土づくりもあわせて整備する必要があります。休業する社員へのセミナー開催等による情報提供だけでなく、職場の理解を得られるよう、両立支援に関する会社としての方針を全体に発信するのも良いでしょう。

また働き方改革として、個人で対応する仕事は極力作らず、チームで仕事をする業務環境づくりを行うなどするとより効果的です。社内外の連絡には共有メールアドレスやチャットツールを使用する、誰もが必要な情報にアクセスできるようにIT環境を整備する、等の対応が有効です。

このような対策を行うことで、育児中の社員に限らず、病気や介護など様々な事情で休まなければならない社員も同様に、安心して休業、復職できる風土が醸成されます。

育児と仕事の両立支援を推進することで、誰もが安心して働くことができる制度・風土が構築され、若年層の従業員の定着・育成に効果が見られた企業もあります。

また、ITツールの進化により、リモートワークの推進やサテライトオフィスの活用が可能になるなど、仕事をするうえで時間や場所による制約がなくなりつつある業種もあり、これらも育児と仕事の両立を後押ししています。

事例紹介

A社(サービス業・従業員300名)
従業員の女性比率が9割のA社は、2015年度に子育てサポート企業として次世代育成支援対策推進法に基づき、厚生労働省の次世代育成支援認定マーク「くるみん」を取得しています。また、会社の基本方針として社員とともに働きがいのある職場環境をつくっていくことを目的に「健康宣言」という方針表明をしています。

そのなかで、働き方改革と併せて、健康的な職場環境づくりを行い、社員のワークライフバランスの実現を明示し、社員の個別事情に寄り添った柔軟な勤務制度・休暇制度を用意しました。

例えば、短時間勤務制度や早朝/深夜勤務免除など、さまざまな制度を多くの社員が使用し、出産や育児と仕事を両立させながら勤務しています。

その他、復職への不安を取り除き復帰に対し背中を押すべく、育児休職者と現役ママ社員の座談会を開催しています。個々の家庭環境に合わせたシフト勤務と育児の両立方法などについて、経験者に話を聞ける良い機会となっています。

まとめ

仕事と子育ての両立支援体制構築にも様々な手段がありますが、他社の事例を参考にしつつ、自社の働き方や風土・文化に即した最適な方法を検討することで、制度などが活用されやすくなるでしょう。

また、社内外へのPRも重要なポイントです。会社として基本方針を表明し、広報や研修等による周知と意識開発をするとより広まっていくでしょう。育児休業からの復職や、復職後も育児と仕事の両立に悩む従業員が気軽に相談できる相談窓口を設置しておくことも大切です。

人事労務管理部門でも、ITツールを活用し、休業中の社員との連絡手段構築や、煩雑な休業者管理業務の一元化をするなど、効率的な管理体制を整えておくことで、担当者の業務負荷を軽減し、復職支援・両立支援に注力する環境整備に役立つでしょう。

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【筆者プロフィール】

「アドバンテッジJOURNAL」編集部

「アドバンテッジJOURNAL」編集部
導入企業数3,140社/利用者数483万人のサービス提供実績と、健康経営銘柄に3年連続で選定されたアドバンテッジリスクマネジメントの知見から、人事領域で関心が高いテーマを取り上げ、押さえるべきポイントやつまずきやすい課題を整理。人事担当者や産業保健スタッフの“欲しい”情報から、心身のヘルスケアや組織開発、自己啓発など従業員向けの情報まで、幅広くラインアップ。「ウェルビーイングに働く」ためのトピックスをお届けします。

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