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生産性を高め、自走を促す「チームビルディング」で知っておきたい背景・効果とは

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「アドバンテッジJOURNAL」編集部

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生産人口減少、グローバル化などビジネス環境が急速に変化する中、企業における組織強化は重要な経営課題となっています。モチベーション、効率性、チームワークといった観点でより生産性を高めるために重要視されているのがチームビルディング、つまり「強い組織作り」です。

経営層・人事や管理職はそうした重要性を理解し、企業成長に資する組織をつくるためにチームビルディングに取り組む必要があるでしょう。

メンバー共通の目標がある?これが「チーム」と「グループ」の境界線

チームとは、「所属するメンバーが共通の目的や目標を持ち、その達成に向かって共に成し遂げようと取り込んでいる集団」のことを指します。この「チーム」を作り上げることこそがチームビルディング。

一方、同じ集団であっても、共通の目的や目標がない単なる人の集まりであれば「グループ」となります。共通目標の有無が「チーム」と「グループ」を分ける境界線といえます。

元々、企業理念やビジョンに賛同した人の集まりが「会社」です。そのため、共通理解があるという前提のもとチームビルディングを軽視する場合も少なくないかもしれません。

しかし、日々の業務に忙殺されて目の前のことしか考えられず、企業理念や共通の目的、周囲との協力関係も希薄化されがちです。また、企業において働き方改革が推進される昨今、テレワーク就業に取り組む企業も増えているため、コミュニケーション活性や生産性向上がこれまで以上に求められています。

ダイバーシティの考え方も浸透してきているため、多様な価値観を持つメンバーをまとめていくマネジメントも意識すべきポイントといえるでしょう。同じ目標に向かって共通認識を強めるとともに、コミュニケーション力や他者認識力、課題解決力を高めていく必要があるのです。

チームビルディングの5段階プロセス、タックマンモデルとは

チームビルディングは、そのプロセスを「形成期=フォーミング(Forming)」「混乱期=ストーミング(Storming)」「統一期=ノーミング(Norming)」「機能期=パフォーミング(Performing)」「散会期=アジャーニング(Adjourning)」の5段階に分類することができます。これは「タックマンモデル」と呼ばれるもので、心理学者のブルース・タックマンが提唱したモデルです。

・形成期=フォーミング(Forming)
チームが作られたばかりの出発段階。
メンバー同士がお互いのことをまだ知らず、様子見や遠慮をしながら探り合っていく状況。チームの共通目標もまだ定まっていません。

・混乱期=ストーミング(Storming)
チームの目標に対する対立や軋轢、抵抗が生まれる段階。
メンバー同士が人間関係、具体的な業務の進め方などについて自身の意見を主張し始め、衝突する状況。

・統一期=ノーミング(Norming)
ストーミング(嵐)を乗り越え秩序が形成された段階。
メンバーの相互理解が進み、適切な役割分担がなされ、他者への思いやりも生まれ始める状況。

・機能期=パフォーミング(Performing)
各自の役割を全うするだけでなく、メンバー同士のフォローが生まれる段階。
メンバー全員が共通目的のために主体的に動き、チーム全体の一体感が増すことで成果も出てくる状況。

・散会期=アジャーニング(Adjourning)
プロジェクトの終了やメンバーの異動、退職などによって、チームが解散する段階。
共通の目的が達成されたことによって、チーム関係が終了することを意味します。

チームビルディングにおける4つの効果

チームビルディングの目的は、どのようなビジネス環境下にあっても企業理念を念頭に置き、チーム一丸となって全員でひとつの目標に向かって前進する意識を持つこと。

商品・サービスづくりを通じて同じ目標や業務を遂行する共通体験は、メンバー同士の信頼関係を深めることにもなります。また、そうした共通体験は組織力の強化にも繋がっていくでしょう。チームビルディングを取り入れることによって、下記の4つの効果が期待されます。

1:チームに一体感が生まれ、メンバーが主体的に動く
共通のビジョンや目的を持つ組織は、それぞれが異なる分野の業務をしていても、自ずと一体感を感じることができます。その根底には、同一の目的が存在するためです。チーム全体の雰囲気も良く、それぞれが主体的に働くようになります。

2:コミュニケーションの円滑化
メンバー同士がお互い協力し合うことで信頼度が高まり、コミュニケーションが円滑になります。相手への尊敬の気持ちも芽生えるため、難しい課題を共にクリアしようと行動する関係性に心地良さを感じ、会話もより活発になります。

3:イノベーションの創出
チームビルディングが成熟してくると、自由な意見も主張しやすくなり、その結果各個人が持つ能力やスキルを最大限に発揮できるようになります。加えて、他のメンバーの意見に刺激を受けて、新たなアイデアが芽生えることも期待されます。

4:個人のスキル向上
ワークショップやアクティビティなど、いつもとは違う非日常的な体験をチームビルディングを通して知ることで、心身を鍛えるきっかけになることもあります。それが個人の殻を破り、新たな成長へと促すこともあり、結果としてチームのパフォーマンス向上も図れます。個人の能力開発もチームビルディングの大切な役目のひとつです。

チームビルディングの成功の鍵は、メンバーにおける共通理解の浸透とチームビルディングそのものを意識させることでしょう。いかにして、メンバーが意識して自主的な行動に繋げるか。組織におけるパフォーマンスを向上させて、ビジネスを拡大させることは令和時代に最も重要な人材施策の一つといえるでしょう。

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【筆者プロフィール】

「アドバンテッジJOURNAL」編集部

「アドバンテッジJOURNAL」編集部
導入企業数3,140社/利用者数483万人のサービス提供実績と、健康経営銘柄に3年連続で選定されたアドバンテッジリスクマネジメントの知見から、人事領域で関心が高いテーマを取り上げ、押さえるべきポイントやつまずきやすい課題を整理。人事担当者や産業保健スタッフの“欲しい”情報から、心身のヘルスケアや組織開発、自己啓発など従業員向けの情報まで、幅広くラインアップ。「ウェルビーイングに働く」ためのトピックスをお届けします。

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