昨今注目を集めているGLTD(団体長期障害所得補償保険)制度は、就業不能状態にある従業員の収入面を支援する制度ですが、仕事ができない状態の方が定期的に保険金請求手続きを行う必要があり、また、保険金請求に必要な書類は、勤務先、病院、健康保険組合など多方面に依頼しなければなりません。
この作業を休職中の従業員ご本人もしくはご家族が行います。そして休職が継続する間は定期的に同じ手配が必要となります。
このため、保険金請求に関わる実務をサポートする体制についても制度検討時の重要なポイントとなります。今回は当社(アドバンテッジリスクマネジメント)の保険金請求サポート担当者からのレポートをお届けします。
目次
保険金請求サポート担当者の実務事例(アドバンテッジリスクマネジメント)
私達は現在、GLTD制度の運営を通じ、保険金のお支払い手続きサポートに携わっています。 長期間傷病と向き合い、日々奮闘されているお客様の大きな心配事である収入減少に対して安心して療養に専念していただけるよう、お一人おひとりに寄り添った丁寧なやりとりを心がけています。
まず、保険金支払い実態として、メンタルヘルス不調に起因する休職者の割合にご注目いただきますと、その多さに驚かされます。現在、毎月契約企業・団体様よりご報告をいただいている休職者の中で、メンタルヘルス不調に起因する休職者は7割に迫る勢いです。
再発リスクを軽減し、できる限り万全の状態での復職を支援するためには充分な休職期間が必要となることから、企業対応策として休職中の収入カバーができるGLTD制度の必要性、保険金請求時のフォローアップの重要性は増してゆく一方と考えられます。
私達は、GLTD専門代理店として保険会社とお客様との間に立ち、保険金請求が滞りなく行われるよう、制度について詳細のご説明、お手続きに必要な書類の手配、傷病状態の確認、保険会社への適正な情報共有などを正確かつスピーディーに対応することを使命とし、日々業務に励んでいます。
その中でもメンタルヘルス不調に伴う休職者のお客様へは、特に慎重な対応を心掛けています。
長期傷病者の方と初めてコンタクトを取るとき
お客様とのファーストコンタクト(事故受付)は、最も慎重な対応が求められるとき、と考えています。
一般的に保険金請求の連絡は対象となる加入者の方からご報告をいただいて手続きが開始されますが、GLTD制度では長期間休職されている方からのご報告を待つのではなく、当社よりお電話をさせていただくフローにしています。
これは、長期間傷病によりお休みをしている方は簡単に外部への連絡が取れる状態にないことが大半を占めていることからで、個人情報保護方針に沿い、人事のご担当者と連携した仕組みで運営しています。
まず、お電話はできるだけ午前11時以降にかけるようにしています。特にメンタルヘルス不調の方の多くは、投薬の影響で朝の体調がすぐれない傾向があるためです。
次にお話の最中は、常に「ゆっくり・親切・丁寧」を心掛けています。 ただでさえ、保険代理店からいきなりの連絡というものは、お客様を驚かせてしまう可能性もあり、保険金に関する受付ヒアリングがスムーズにできないケースも想定され、充分な配慮が必要となります。
また、そもそも会社が導入した制度であるGLTD自体をご存じない・充分な理解をされていないお客様も多くいらっしゃいます。 その場合は、ご所属の会社名や人事担当者名を積極的に出してゆき、少しでもお客様に安心していただけるようにしています。
「会社の福利厚生制度の一環であること」「休業情報と連絡先は人事のご担当者より頂戴したこと」等、ひとつひとつ説明して行くことで、徐々にご理解いただけます。
受付ヒアリングでは、傷病名・病院名・通院歴等をお伺いするため、それら「センシティブ情報」の取り扱いには細心の注意を払います。10分~15分という短い時間で、いかにお客様から安心と信用を得られるか、を念頭にお話します。
私達とお客様との信頼関係を築くにあたり、ここで「保険金請求の流れ」を説明しておくことも、大変重要なポイントと考えます。 今後の手続きの流れをある程度ご想像いただくことで、お客様の不安感を少しでも取り除くことが目的です。
保険金請求書類ご案内のとき
GLTD制度の保険金請求時に必要な書類は繁雑なものが多く、メンタルヘルス休職者にとっては、書類の取り揃えが困難となることが多々ございます。その際は、私達のサポートが必須と考えております。
請求書類は、
■お客様ご自身にご用意いただく書類
■会社にご用意いただく書類
■主治医へご用意いただく書類・・・と、多岐にわたります。
GLTDのもう一つの特徴として、休職期間が長期に渡るため請求は1度限りで終わらないことが多いことがあります。
初回請求案内⇒請求⇒支払い ⇒2回目請求案内⇒請求⇒支払い⇒3回目・・・
と、支払い終了までは継続的なやり取りを、お客様とさせていただくこととなります。 ご復職やご退職の後も支払いが継続するケースもありますので、長期間のお付き合いとなることもあります。
また、契約ごと・保険会社ごとで異なる支払い方をするため、それを間違いなくお客様へ説明できるよう留意しています。
例えば、公的給付(傷病手当金・労働災害保険・障害年金)を控除しない契約(公的給付控除なし)では、保険金額が変わりますので、その内容を詳細まで確実に理解いただけるように工夫したご案内をします。
なお、公的給付金申請の窓口とGLTD請求の窓口を混同されている方も多いため、「お客様が聞きたい内容は何か」を常に考え、速やかに回答できるよう心掛けています。
【参考】メンタルヘルス不調休職者に対して留意していること
・メンタルヘルス不調休職者の気持ちに寄り添う姿勢、気持ちを荒立てることのない丁寧な対応
・説明事項が多く、早口になりがちなので「ゆっくりした口調」
・専門用語は使わず、わかりやすい言葉使い
このように、メンバー全員が「いつでもご連絡ください」「何でもお問い合わせください」という、お客様を受け入れる寄り添った姿勢を持って、業務に臨んでいます。
嬉しかった、サポート終了後の手紙
メンタルヘルス不調のお客様が、それが原因で会社を休業することとなりました。 初めは、私からの電話にかなり懐疑的な様子でした。
何とか受付を終え、保険金請求の段階となると、何度もフリーコールにお問い合わせいただくようになりました。 ようやく書類が揃い、支払いに至った後も、完全復職まで繰り返し請求は続きました。その都度、継続的にフォローしたことを覚えています。
そして無事に復帰までの支払いが終了した後、お客様から手紙を頂戴しました。
そこには
・長期間継続してフォローをしてくれたお礼
・本来であれば、問題なく一人でできるはずの請求書類の準備が、療養中は想像を絶する大変さであったこと
・サポートがあったお陰で、金銭的にも精神的にも余裕が出て、治療に専念することができた
等、嬉しい言葉が並んでいました。このように、お客様の声が私達の明日への活力となります。
この業務をしていてよかった、と思える瞬間です。
以上、私達の日々の業務につきご案内させていただきました。
この仕事を通じ、GLTD保険金請求サポートのプロとして「常にお客様(被保険者)のことを第一に考える」「どのような場合においても、できる限りのフォローをする」という信念を見出しました。 お客様からいただく「ありがとう」の言葉が、私達の大きなやりがいに繋がっています。
まとめ
社員のために導入したGLTD制度も、実際に保険金が支払われることで、はじめてセーフティネットとしての機能を果たします。また、長期で休職している方々に安心して療養に専念していただく環境づくりのためにも、保険金請求サポートの仕組みが整備されていることはとても重要です。
GLTD制度を設計する際にはこのような点にも留意し、ご検討してみてはいかがでしょうか。
株式会社アドバンテッジリスクマネジメント
LTD顧客サポート部 リカバリーサポート担当