会議室で話し合う二人のビジネスパーソン

チームビルディングと1on1のセット展開でエンゲージメントを最大化

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「アドバンテッジJOURNAL」編集部

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チーム単位で起こっている問題の共通点

当社は、ストレスチェック法制化以降、エンゲージメント改善、生産性向上等を目指し、多くの職場改善に携わってきました。

さまざまな職場に関わっていくなかで、製造業、サービス業などの業種問わず、問題がある職場には、共通点があることが明らかになってきました。私たちコンサルタントが感じている問題点は、概ね、次の3つに集約されるのではと考えます。

(1) 企業の従業員規模に関わらず、職場の問題は、5~10名程度のチーム単位で起こっている
(2) チーム内で起こっている問題は、チームを取りまとめる上長、チームを構成しているメンバー、
双方に問題がある
(3) 上長、メンバー、双方が抱えている課題の多くは、コミュニケーションに起因するところが大きい

そして、メンバーのエンゲージメントを高めていく上で、メンバーが自分自身のエンゲージメントを高めていく時と、上長がメンバーのエンゲージメント向上に率先して関わっていく時との効果性を比較した際、後者の方が50%以上の確度で成果を上げるということがわかってきています。

昨今、「管理職偏重型」だったこれまでの研修やトレーニングから「メンバー重視型」にシフトしつつある中、今一度、管理職層によるメンバーへの関わり方を見直していく時期に来ているのだろうと思います。

コミュニケーションを成り立たせている3つの要素

では、管理職層、とりわけメンバーの直属となる上長の関わり方を、どう見直していけば良いのでしょうか?

私たちコンサルタントは、上長とメンバーとの関わり方を見直す際、コミュニケーションの改善ポイントを3つに分けて考えることにしています。それが、下の図に示されている、「受信」 「発信」 「自己観察」 となります。

コミュニケーションの改善ポイントに関するイメージ図

上長がメンバーとコミュニケーションを取る際、通常、自分からメンバーにメッセージを送る「発信」の要素と、メンバーからのメッセージを受け取る「受信」の要素があれば、コミュニケーションは成立します。

ですが我々は、上長がコミュニケーションの際に自分自身を振り返る「自己観察」の要素も加えた、3つの要素でコミュニケーションを捉えています。

その3つの要素が、どの程度、コミュニケーションの中で発揮されているか客観的に把握することが重要になってきますので、その測定は、ぜひ、当社が持っているアセスメントなどを用いて調査されてみることをお薦めします。(コミュニケーションの3つの要素を測定するアセスメントについてはこちらから ⇒https://www.armg.jp/business/eq/

コミュニケーションの技術を高めるための1on1

メンバーと関わる上長のコミュニケーションの3つの要素がどの程度発揮されているか測定するだけでは、もちろん、メンバーのエンゲージメントは高められません。

必要なアクションは、いわゆる「1on1ミーティング」。その頻度を上げながら、同時に、その質を高めていくことで、メンバーのエンゲージメントは飛躍的に高まっていくことが、私たちの事例でも明らかとなっています。

従業員数500名程度のA社は、私たちが推奨している、チームビルディング+1on1併走型のプログラム(エンゲージメント向上伴走型コンサルティング)に約6か月近く取り組まれました。その中でも、15名程度のメンバーを率いる課長のチームで顕著な成果が出ました。

当初は、メンバーにもやらされ感があり、エンゲージメントのスコアもなかなか上がりませんでしたが、後半から、活動の浸透度がグングンと高まってきて、活動の最終期では、スコアが最高値にまで到達するに至ったのです。

では、その課長は、期間中に何を実施したのでしょうか? 簡潔に言ってしまえば、自分自身のコミュニケーション技術向上と1on1を地道に繰り返しただけなのですが、より高い効果を発揮してもらうために必須となる、3つのポイントを徹底していただきました。

1on1ミーティングを有意義な場にするための3つのポイント

1つ目は、「メンバーが率直に話せる関係性を作る」

当たり前の話ですが、このポイントを見逃している管理職は意外と多く、メンバーと安心安全に話せる関係性を築き上げないまま、コミュニケーションを図ろうとしても、メンバーの心がオープンになることはありません。

特に、1on1を始めてまもない頃や、コミュニケーションが苦手なメンバーの場合、なかなかオープンには話してくれません。

何を話せば良いかわからないメンバーに、 「あー、こうやって話せばいいのか」という理解と、「上長がこんなことを思っていたのか、初めて話してもらえたな」という嬉しさを味わってもらうためにも、まず、上長自らが自分自身のことをオープンに話していくことで、メンバーの心も徐々に開いてきて、じわじわとコミュニケーションが広がっていくのです。

特に利害関係がある関係性の中では「自分は何を話してもいいんだ」と思ってもらうことを目指しましょう。たとえば、メンバーが話しやすい土壌を作るために、自分の自慢話にならないようにしたり、話が長くなりすぎないようにしたりします。

また、出身地や趣味、仕事にかける思いなど、できるだけ目の前のメンバーと共通点がないか探しながら話すと、親近感もグッと高まります。メンバーができるだけ冷静になれるよう、話すトーンやテンポを合わせてあげることも効果的です。

そして2つ目は、「メンバー自身が、自分について客観的になれる場づくり」

勘違いされている上長の方が多いのですが、1on1ミーティングは、問題解決の場ではなく、メンバーが、今の自分自身を客観的に把握するための場とするのが最も効果的で、そのための場づくりが必要だと言われています。

つまり、1on1ミーティングでは、メンバーの経験を客観的に俯瞰させることが目的となりますので、話の内容に対して、原因や結果を深掘りするのではなく、まずは メンバーが自分について、より客観的になれるよう導くことが大切です。

たとえば、メンバーが話してくれた事実に対し、その時の感情(どう感じたの?)や思考(どう考えたの?)また、その後取った行動(どう行動したの?)を振り返るような質問を何度も繰り返すことで、言語化でき、経験の内省が進み、気付きに繋がっていくのです。

最後の3つ目は、「効果的なアドバイスが得られたと感じる時間にする」

1on1ミーティングは、メンバー自身のための時間です。ですので、メンバーが聞く側にまわる“アドバイス”は、使い方を間違ってしまうと、1on1ミーティングの時間が、上長の“独演会”となり、楽しくない時間になってしまいます。

一方、アドバイスそのものを有効に活用することができれば、メンバーにとっては、より有意義な1on1の時間になります。1つ目、2つ目のポイントを確実に押さえられるようになった上長は、3つ目のポイントに留意しながら、効果的なアドバイスにもチャレンジしてみて下さい。

最後に

さて、いかがでしたでしょうか? 今回は、「チームビルディングと1on1のセット展開でエンゲージメントを最大化」というテーマでお届けしましたが、職場で取り組んでいくイメージはもっていただけましたでしょうか?

これまでのチームビルディングは、どちらかと言えば、静的な捉え方での取り組みでしたが、最近では、動的な捉え方、つまり、日々目まぐるしく変わってくる経営環境において、メンバーの心的動向に合わせたコミュニケーションマネジメントを図っていかなければ、エンゲージメントを高めることはできない、ということなのです。

ぜひ、今回の内容なども十分に踏まえながら、各業種に合わせた形で、現場への展開を進めていっていただければと思います。

株式会社アドバンテッジリスクマネジメント
組織ソリューション部 シニアコンサルタント

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【筆者プロフィール】

「アドバンテッジJOURNAL」編集部

「アドバンテッジJOURNAL」編集部
導入企業数3,140社/利用者数483万人のサービス提供実績と、健康経営銘柄に3年連続で選定されたアドバンテッジリスクマネジメントの知見から、人事領域で関心が高いテーマを取り上げ、押さえるべきポイントやつまずきやすい課題を整理。人事担当者や産業保健スタッフの“欲しい”情報から、心身のヘルスケアや組織開発、自己啓発など従業員向けの情報まで、幅広くラインアップ。「ウェルビーイングに働く」ためのトピックスをお届けします。

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