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GLTD契約後から導入までの全体スケジュールと注意点を押さえよう
従業員の就業不能リスクをケアする福利厚生としてGLTD制度を導入する企業も増えてきています。会社が全従業員を対象にする【全員加入型】と、各従業員が必要に応じて加入する【任意加入型】をセットとして、導入するケースが一般的です。
全員加入型と任意加入型では、導入プロセスが異なるため、制度開始のタイミングも異なります。ここでは、一般的な全員加入型・任意加入型それぞれの導入プロセスと注意点を解説します。
全員加入型の導入プロセス・注意点
導入決定後のプロセスは上表の通りで、制度開始(保険始期日)まで3~5ヶ月かかることが一般的です。注意点としては以下2点があげられます。
1点目:制度開始日の設定
制度開始日の設定には「福利厚生制度として会社の期初に合わせる」という考え方と「すぐに制度開始し1人でも多く救えるようにする」という2つの考え方があります。それぞれの考え方に合わせてスケジュールを設定します。
2点目:保険料の払込み
保険料は必ず「制度導入(保険始期日)前の営業日」までに払い込む必要があります。そのため、経理部などに事前に確認しておくと良いでしょう。
任意加入の導入プロセス・注意点
導入決定後のプロセスは上表の通りで、制度開始(保険始期日)まで6~8ヶ月かかることが一般的です。全員が加入する全員加入型と異なり、各従業員が制度を理解した上で必要に応じて加入申込みを行うため、加入機会の提供(=募集)と制度周知を行うことが必要です。注意点としては、以下2点があげられます。
1点目:定期異動日に注意する
自分の保険料が記載された申込書を1人ずつ配布します。その際、配布しやすいように部署名も印字します。そのため、従業員データの受領日から制度周知(募集)までの間に定期異動日があると、異動前の部署名で印字されたパンフレットを配布することとなり混乱を招く可能性がありますので、定期異動日に注意してスケジュールを設定する必要があります。
2点目:最適な制度周知(募集)のタイミングを計る
「繁忙期を避け理解してもらえる時間を取る」、「行事ごとに絡めて全員に伝える」など、タイミングを計ることで、より従業員に理解されやすくなります。
ここまでの内容で、「制度周知は具体的に何をすればよいのか?」「パンフレットの作成など手間がかかりそう」など、疑問やハードルに思われることもあると思います。次章では、任意加入型はもちろん全員加入型においても重要な制度周知について詳しく解説します。
GLTD制度周知において重要な4つのステップ
せっかく導入した福利厚生制度が従業員に知られていない、メリットを感じられていないのでは非常にもったいないことです。
福利厚生制度として確実に機能させ、従業員の満足度向上につなげるためには、従業員がGLTD制度を認知し理解してメリットを感じてもらうことが必要です。そのために次の4つのステップを意識して周知活動を行なうと効果的です。
STEP1:企画【想いを確認】
・GLTD制度を通じて伝えたいメッセージの整理
この制度をどのような想いで導入したかを改めて整理し、従業員に伝えたいメッセージを明文化します。
・ペットネーム(愛称)の設定
GLTD制度ではなく「長期安心サポート制度」など想いを反映させた名前にすることで親しみやすい制度にすることを目指します。
・メッセージ、制度の伝え方を検討
日頃社内で行っている伝達方法に加え、3つの施策+職場環境に合わせた周知施策を実施することで、制度の認知と理解を高めていくことができます。
*3つの施策*
①パンフレット・アンケート付加入申込書の全員配布
②アンケート付加入申込書の全員回収
③説明会の実施
*職場環境に合わせた周知施策の具体例*
・部門長会議や各工場の総務担当会議等で事前に伝え、スムーズに周知できるように前捌きを行う
・イントラネットをよく見る会社では、トップページに情報を目立つように掲載する
・工場では食堂や休憩スペースにポスターを掲示する 等
・定量的な目標の設定
認知・理解の度合いを確認するために定量的な目標を設定します。加入申込書の回収率や加入率、説明会参加率等設定し実施中のモニタリングの目安とします。
STEP2:事前準備【想いを伝えるツールを作成】
・STEP1で検討した施策に必要なものを準備します。
例)イントラネット掲載文書/社内通知文書/社内アナウンス用の原稿/パンフレット説明会資料 等
下地の資料を専門の保険代理店が準備している場合もあります。その場合下地をもとにカスタマイズします。
STEP3:実施&モニタリング【想いを伝える】
・STEP1,2で設定した内容を実施。
・定量目標の達成状況をモニタリング。人事部から事業所・部署へフォローを行うことも効果的です。
STEP4:全体の振り返り【想いが伝わったか振り返る】
・定量目標の達成状況の確認
・専門の保険代理店が作成するレポートに基づき、より詳細に定量目標の達成状況を確認
(事業所毎・部署毎、年代・性別毎で多角的に分析)
・認知、理解が足りない属性があれば、個別に説明会を実施するなど次年度以降のフォロー施策を検討する。
GLTD制度を周知する際の注意点
制度導入初年度はSTEPに基づき確実に周知しましょう
最近では民間の就業不能保険なども販売されています。「会社の制度があることを知らされなかったために民間の保険に入ってしまった」などということが発生しないよう、認知・理解を高めましょう。
人事労務担当者だけではなく会社全体を巻き込みましょう
制度への想いを社長から発信する、など様々な場面で従業員の関心を集めることが重要です。また、上述した3つの施策がスムーズに行われるよう、各部門長や工場毎の総務担当者などと連携することも重要です。
2年目以降も継続的な取り組みが必要です
制度導入2年目以降も、STEP4で検討した次年度以降のフォロー施策を実施したり、新入社員・中途社員にも制度周知したりすることによってGLTD制度を価値ある制度に育てることができます。
会社として十分な周知が行えれば、約40%の従業員が任意加入型に加入する傾向が見られますので、一つの定量目標にしてみても良いかもしれません。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回はGLTD制度の導入プロセスと周知活動について解説しました。
成功に向けて、導入初年度がとても重要です。【契約する=導入する】ことだけでなくその制度を利用する従業員が理解するところまでの浸透を両輪で行わなければ価値は最大化することはできません。
また、導入目的や伝えたいメッセージ、職場環境により効果的な施策は異なります。ノウハウ、各コンテンツなど興味がありましたら、情報収集の一環としてGLTD制度の専門代理店へ相談をしてみてはいかがでしょうか。
株式会社アドバンテッジリスクマネジメント
LTD・リスクファイナンス部門 コンサルタント