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コロナ禍における、あるべき復職支援とは?

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「アドバンテッジJOURNAL」編集部

「アドバンテッジJOURNAL」編集部

休業者が再休業する可能性は回数を重ねるごとに高まると言われています。効果的な対策として「リワーク支援」が挙げられており、復職にあたり、実施している企業も多いです。

しかし、従来のリワークは対面による対応が多く、昨今のコロナの影響で十分なケアができなくなってきています。本記事ではコロナ禍における、あるべき復職支援の方法について解説します。

はじめに

厚生労働省が発表している「患者調査」によると、精神疾患の患者数は1996年では218.1万人でしたが、2005年には302.8万人、2017年には419.3万人となっており、中長期的に増加傾向が見られます。この傾向から企業、特に人事・労務担当者として懸念されることの一つが「メンタルヘルス不調による休業者の増加」です。

メンタルヘルス不調による休業は、産休・育休などと異なり復職までの見通しが立てづらいだけでなく、復職後に再び休業してしまうケースもあることから、十分なケアが必要と考えられています。

厚生労働省の「うつ対応マニュアルー保健医療従事者のためにー」によると、メンタルヘルス不調の再発率は回数を重ねるごとに高くなると発表されています。

2020年8月、当社が休業者管理の担当者に対して実施した「休業者管理の課題に関するアンケート調査(n=307)」によると、5人に1人の方が、「再休業率が高く、更なる両立支援策が必要」と回答しており、人事・労務担当者としても意識すべき課題の一つであることがうかがえます。

本記事では、復職後の再休業を防ぐために企業の人事・労務担当者として必要な取り組みを解説します。

再休業リスクを低減させる支援策としてのリワーク

再休業リスクを低減させる有効な施策として「リワーク」が挙げられます。精神科医でメディカルケア虎ノ門の院長を務められる五十嵐良雄先生のレポートによると、リワークプログラムの利用者は非利用者と比較して復職1年後の就労継続割合が高いことが確認されており、再休業リスクの低減策として、リワークが有効であることがうかがえます。

リワークプログラム利用者と非利用者の復職後1年間の金甌継続状況
出典:五十嵐 良雄(メディカルケア虎ノ門)ほか.「リワークプログラム利用者の復職後1 年間の就労継続性に関する大規模調査」,http://utsu-rework.org/info/2019_006.pdf を一部加工して利用

そもそもリワークとは、return to workの略語で、精神疾患による休業者に対して行う、職場復帰に向けたリハビリテーションのことを指します。医療機関や地域障害者職業センター、企業内などで実施されます。

復職までのケアで満足することなく、復職後も継続的に就労できるように、定期的な面談などを通して、心身の状態をチェックすることも人事・労務担当者としては欠かせません。また、復職にあたっては対象者本人だけではなく、全社的に休業者や復職者に関する理解を促す施策も重要となります。

周囲の理解が十分でないために、復職者にストレスを与えてしまい、再休業になってしまう可能性も十分にありますので、復職者への対応や業務上の配慮などについても、全社的に共通認識を持つことが必要です。

コロナ禍に求められるリワークとは?

従来のリワークでは、休業者が専門の施設や職場に足を運び、受講するケースが一般的でした。しかし、昨今のコロナ禍において、対面形式だけでは十分な対応が難しくなってきており、オンラインによるプログラムの提供を始める施設もでてきました。

このような状況下、企業の人事・労務担当者が休業者の復調状態を正確に捉えることは容易ではありません。ただでさえ対面の機会が減少し、機微を感じ取るのが難しくなっている中、断片的な情報を基に復職判断を行わなければならないプレッシャーはこのコロナ禍で更に増しています。判断材料の充実と「見える化」が不可欠であると言えるでしょう。

また、テレワークの普及により、復職後にそのまま在宅勤務となるケースや、上司・同僚が在宅勤務というケースも増えていると思います。

精神疾患は再発・再燃の可能性が高いため、復職者に何らかの変調がないか周囲が気を配り、上司が面談や業務負荷調整等の対応をとることが極めて重要ですが、在宅勤務の場合、自然体ではそのような対応も難しくなります。新しい働き方に合わせて、復職後のフォローを含めた包括的なサポートの在り方を検討する必要があります。

先述のように、一般的にリワークと言うと職場復帰に向けたリハビリテーションを指しますので、あくまで復職に至るまでの伴走という位置づけです。

復職後に再度休業に至るようなことが無く、持てる力を発揮してもらうためには、復職後のフォローもまた同じように大切であるわけですが、多くのリワークは復職がゴールとなっています。従業員の様子が見えにくい働き方であればこそ、より復職後の状況にも気を配る必要があります。

まとめ

いかがでしょうか。今回はコロナ禍における、あるべき復職支援について解説しました。メンタルヘルス不調者が増加傾向にある中、確実な復職へと導くためにリワークが重要な取り組みの1つであることには変わりがありません。

しかし、働き方が多様化する中で、復職支援のあり方も変化しており、今まで以上に広範かつ丁寧な対応が求められています。

eRework機能も充実した休業者・復職者管理サービス
「ADVANTAGE HARMONY」

「ADVANTAGE HARMONY」を用いることで、システムによる業務管理により休業者・復職者管理をスムーズに行うことができます。さらにインターネットを活用したリワーク機能「eRework」も提供しており、休業者のスムーズかつ、安定的な復職を支援しています。

「eRework」は、主治医の先生の復職可の診断が出てから受けていただく3週間のプログラムで、復職後6ヵ月間のフォローアップも実施されます。
具体的には、休業者本人、人事担当者・産業保健スタッフ、復職場所の上司に対して、それぞれの役割に適したコンテンツ・機能を提供しています。

eReworkの機能に関するイメージ図

休業者本人に対しては、主に以下の機能を提供しています。
・生活リズム表の記録
・移動訓練(GPS利用)
・e-learningでのCBT学習(認知行動療法)
・再発防止策の検討(作文提出等)
・週1回のカウンセラーとの体調確認面接

人事担当者、産業保健スタッフに対しては、主に以下の機能を提供しています。
・課題の遂行状況や体調の回復状況をスコア化し、タイムリーに共有
・回復状況が見える化されることで、復職時の適切な判断が可能
・復職後の体調変化についても早期発見がしやすくなり、再発予防につながる

復職場所の上司に対しては、主に以下の機能を提供しています。
・復職支援に関するe-learningを提供し、受け入れ場所の体制整備を支援

コロナ禍やこれからを見据えて、新しい復職支援体制を構築されたい企業様におすすめです!

株式会社アドバンテッジリスクマネジメント
両立支援事業部 コンサルタント

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【筆者プロフィール】

「アドバンテッジJOURNAL」編集部

「アドバンテッジJOURNAL」編集部
導入企業数3,140社/利用者数483万人のサービス提供実績と、健康経営銘柄に3年連続で選定されたアドバンテッジリスクマネジメントの知見から、人事領域で関心が高いテーマを取り上げ、押さえるべきポイントやつまずきやすい課題を整理。人事担当者や産業保健スタッフの“欲しい”情報から、心身のヘルスケアや組織開発、自己啓発など従業員向けの情報まで、幅広くラインアップ。「ウェルビーイングに働く」ためのトピックスをお届けします。

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