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コロナ禍において変わる相談傾向 ~カウンセリングの現場から~

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「アドバンテッジJOURNAL」編集部

「アドバンテッジJOURNAL」編集部

新型コロナウイルスの感染拡大、誰もが経験したことのなかった緊急事態宣言、様々な環境変化の中、ストレスを感じながら日々を過ごされている方も多いのではないかと思います。

アドバンテッジ相談センターに寄せられる相談内容や相談方法も実は例年とは違った傾向がみられることがわかりました。今回は、コロナ禍における相談傾向の変化とカウンセリングについてお伝えいたします。

仕事のストレスが減った?コロナ禍における相談内容の変化

アドバンテッジ相談センターに寄せられる相談内容は「キャリアプラン」、「仕事のストレス」、「部下や社員についての相談」、「プライベート」、「メンタルヘルス不調」に分類しております。さて、コロナ禍でこの相談内容はどのように変化したのでしょうか。

コロナ関連カウンセリング:相談内容の変化に関する棒グラフ

今回は2019年度、2020年3月1日~5月25日、2020年5月26日~7月21日という3つの期間に分けて相談データの分析を行いました。

2019年度と比較すると「仕事のストレス」は26.7%→22.2%に減少した一方で、「プライベート」は16.3%→24.5%に増加、「メンタルヘルス不調」に至っては23.5%→32.3%に増加していることがわかりました。さて一体どうしてこのような相談内容の変化が起きたのでしょうか。

まず「仕事のストレス」の相談が減少した理由については在宅勤務という新しい働き方が多くの企業で導入されたことに関係があると思われます。通勤時間がなくなり、場合によっては苦手な上司や同僚の顔を見なくても良い環境になった、という方も少なくないのではないでしょうか。

一方で「プライベート」や「メンタルヘルス不調」の相談が増えた理由はどのようなものなのでしょうか。

在宅勤務になると家族との時間も増え、ワークライフバランスがとりやすくなるという意見は多いと思います。しかし、一方ではプライベートな空間で仕事をするということによって様々な問題が浮き彫りになってくることが考えられます。

夫婦関係、子育て、親子関係等々…これまでの働き方であれば家にいる時間が少なく、気にならなかったことが気になってきたというご相談をよく伺いました。お読みいただいているみなさんはいかがでしょうか。

また「メンタルヘルス不調」の相談が増えた理由に関しては、コロナ禍によって誰もが感じざるを得ない閉塞感やフラストレーション、また職場体制や環境を早急に整えなければならなかったなど、ストレス状況が一気に発生したかと思います。

このような環境要因が不調につながったという可能性もあるでしょう。特に2020年3月~5月の緊急事態宣言下では気軽に外出することもかなわず、家の中でもやもやとした気持ちを抱えながら過ごしていたという方も少なくないのではないでしょうか。

このような自分ではどうしようもないような状況の中で蓄積されたストレスをうまく対処できず、心身の調子が崩れ、「メンタルヘルス不調」の初期症状があらわれることも珍しくはありません。

自分には「メンタルヘルス不調」なんて関係ない…と思っていた方であってもコロナ禍の状況下においては決して無関係ではありません。

睡眠、食欲、飲酒量、好きなことを楽しめるかどうかという点を日々確認いただき、少しでも変化があったのであればご自身にあったストレス発散方法を試すことや、誰かに話をして気持ちを整理する等の対処行動を起こすよう検討してみてくださいね。

オンラインでもカウンセリングできる?コロナ禍における相談方法の変化

さて、実は相談の方法も例年とは異なった傾向がみられています。アドバンテッジ相談センターでは「対面相談」、「電話相談」、「メール相談」、「オンライン相談」と幅広い方法でカウンセリングをご利用いただけるよう体制を整えております。相談内容と同様に3つの期間に区切って、分析を行いました。

カウンセリングの利用種別割合に関する棒グラフ

その結果、2019年度と比較すると「電話相談」が8%→14%に増加、「オンライン相談」も1%→3%に増加、「対面相談」は13%→4%に減少といった結果となりました。

カウンセリングと聞くと対面でゆっくり話をするというイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。しかし、在宅勤務が新しい働き方として根付きつつあるようにカウンセリングも対面が前提となるものではなくなりつつあるのかもしれません。

特に仕事や家庭の事情でカウンセリングルームまで行くのが難しいという方にとってオンライン相談は非常に利便性が高いものだと感じます。また、海外からのご利用も増えており場所を選ばない新たな形のカウンセリングとして今後は定着していくのではないかと思います。

まとめ

この記事ではコロナ禍における相談傾向の変化についてお伝えいたしました。このデータからわかるのは働く方々のお悩みの内容は日々変化しつつあるということです。

これまではそんなに頭を悩ますことはなかったテーマであっても、このコロナ禍では深刻なお悩みへと発展することがあるかもしれません。

そして、大切なことはこの記事を読んでいるあなたにだけその変化が起きているということではありません。誰にとっても緊急事態であるこの情勢を乗り切るための方法を検討していきましょう。

なお、 高まりつつある需要に応える形で、 アドバンテッジ相談センターではオンライン相談をさらに多くの方にお届けできるよう体制拡充を行っております。加えて2020年9月にはより多くの方々にカウンセリングをご利用いただけるよう、「SNS相談」サービスをリリースしました。

対面コミュニケーションの減少によって、相談できる人との接触が減り、誰もがメンタルヘルス不調に陥るリスクがある今、働く人々が利用しやすいカウンセリングサービスを提供することが我々の責務であると考えています。

カウンセリングを受けてみたいけれどもいきなり面談や電話はハードルが高い…といった方にぜひご利用いただきたいと願っております。ご興味がありましたら、情報収集の一環としてぜひ一度弊社窓口までお問い合わせくださいませ。

株式会社アドバンテッジ リスク マネジメント
「人」ソリューション部 カウンセラー

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【筆者プロフィール】

「アドバンテッジJOURNAL」編集部

「アドバンテッジJOURNAL」編集部
導入企業数3,140社/利用者数483万人のサービス提供実績と、健康経営銘柄に3年連続で選定されたアドバンテッジリスクマネジメントの知見から、人事領域で関心が高いテーマを取り上げ、押さえるべきポイントやつまずきやすい課題を整理。人事担当者や産業保健スタッフの“欲しい”情報から、心身のヘルスケアや組織開発、自己啓発など従業員向けの情報まで、幅広くラインアップ。「ウェルビーイングに働く」ためのトピックスをお届けします。

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