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「キャリアコンサルティング」とは?具体的な相談事例と面談の進め方を紹介

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「アドバンテッジJOURNAL」編集部

「アドバンテッジJOURNAL」編集部

前記事では、「キャリア」についてのよくある誤解と、キャリア支援における従業員側、会社側のメリット、および具体的な制度としての「セルフ・キャリアドック」についてご紹介いたしました。

本記事では、「セルフ・キャリアドック」の中でも重要なフェーズである、キャリアコンサルタントによる「キャリアコンサルティング」の中身について、具体的な事例をもとに、どんなやりとりがなされるのかイメージをもっていただければと思います。

「キャリアコンサルティング」とは具体的にどのようなことをするのか

仕事にモチベーションを見出せない従業員Aさんと、キャリアコンサルタント(以下、CC)との面談を例に見てみましょう。

Aさんのお悩み
【社会人5年目。仕事自体は好きで、待遇面も満足しているが、上昇意欲がない。今後どんな方向性でやっていくのか迷っている。数年前から悩んでいるが、相談できる人がいない。】

1.導入、お悩みの詳細を聞く

CC:こんにちは。最近お仕事についての悩みや、日々の中で困ったり気になったりされていることはありますか?

A:そうですね。困っているとまではいかないかもしれませんが…今後の自分の方向性というか、仕事について考えることはありますね。

CC:今後の自分の方向性や仕事について、どのように考えられているんですか?

A:ええと…仕事は好きなんです、楽しくやっていますし、褒められたりするとやりがいもあるし。でも、何というか…常に、次の目標は?次は何を目指すか?って次々に求められているような感じがあって、それにどう答えたらいいかわからなくって…。

目の前の仕事や課題を一生懸命やる分にはいいんですけど、そういう、今後の自分の方向性…?というところが、特にないなと思って…。これでいいのかな、と思うことはありますね。

CC:なるほど…目の前のお仕事は楽しい…一方でこれから先の自分のイメージはあまり浮かばなくて…これでいいのかな、と思う…そこに違和感みたいなものがおありなんですかね?

A:そうですね。結構前からそのあたりの違和感はあったんですけど、あんまりこういうこと…社内の人や上司に相談できなくて。やる気ないって思われるかな、とか思っちゃうと。

CC: やる気がないという風に見られるのは嫌だ、と思われたんですね。

A:はい。かといってプライベートでは、バリバリ自分のやりたい仕事をやっている友達も多くて…そういう話はしづらいし、家族に言っても辞めたいと思ってるみたいに思われても嫌だし…。

CC:そうなんですね、友達にも家族にもなかなか話しにくかったこと…ここでお話ししてくださってありがとうございます。

2.「今後の方向性がわからない」という気持ちの背景を探りつつ、Aさん自身が大事にしている価値観を探る

A:いえ。……はあ、でもどうすればいいのかなって思うんですよね。仕事でどうなりたいとか、全然イメージが湧かなくて。先日のキャリア研修も受けてみて、いろいろ考えなきゃだめだなとか思ったりしたんですけど。

CC:キャリア研修も受けられたんですね。その時、受けてみていかがでした?どんな事を思われましたか?

A:周りの人は結構すらすら…今後の目標について考えるワークとかも進んでいたみたいなんですけど、自分は結構手が止まってしまって…仕事で達成したいこととか何も浮かばなくて。自分、ぼんやり生きてるんだなって思いましたね。

CC:ぼんやり生きてるんだな…と思われた…そのあたりもう少しお聞きしてもいいですか?

A:うーん、やっぱりちゃんと考えなきゃいけないのかな…やっぱりそういうのがあったほうが、仕事で充実感も得られるかな、って思いました。今、不満は全然ないんですけど、他に何もないというか…淡々としてしまっている感じがあって、これでいいのかなっていう違和感です。

CC:不満はないけど、充実感もなくて、これでいいのかなと思う……そういう風に思うようになったのって、最近ですか?

A:うーんと…社会人3年目くらいまでは、できないことも多くてしんどかったですけど、成長している感じはありましたね。年数重ねて悪い意味でこなれてきた感じなのかもしれません。かといって、今後特にどうなりたいっていうのもないし…

CC:そうなんですね。3年目くらいまでと、今と、何かご自身で違うなと思うことってあります?

A:違うこと……前は、仕事でいっぱいいっぱいだったというか……全然できないことばっかりだったので、生活の中心が仕事で、ずっと仕事のことを考えていましたね……。

今はそういうことはなくて、仕事のことは業務時間に集中して、そうじゃない時間はプライベートのことしか考えてないです。仕事のことを考える時間が減ったから、そういう方向も見えなくなってるのかな…

CC:前は生活の中心が仕事で、仕事でいっぱいいっぱいだったのが、今はそれだけじゃなくて、プライベートについて考える時間と、きっぱり分かれているような感じなんですかね?今の状況は、Aさんにとってどう感じられますか?

A:うーん…私にとっては…こういうと意識低いかもしれないですけど、いいことかなーと思いますね。日々ぱつぱつじゃなくて、前よりはプライベートであれやりたいなーとか考えられるようになって。

CC:お仕事に余裕ができて、プライベートの方が充実されてきていて、ご自身的にはいいことかなーと思うんですね。ちなみに、プライベートって最近どんなことをやられているんですか?

A:最近はゲームですね。平日も、家事とかも早めに全部済ませて、2時間はやる時間を確保しようとしています。土日は朝から晩までやっちゃいますね。ぶっ通して6~8時間とか。

CC:それはすごいですね、本当にお好きなんですね。逆に疲れたりしません?

A:体は疲れるんですけど、充実感があるのであんまり気にならないですね。仕事の8時間と、ゲームの8時間って感じ方が全然違うんですよね。

CC:そうなんですね~。ゲームの方があっという間なんですか?

A:あっという間ですね~。もっとやりたいです。

CC:まだ足りない(笑)

A:足りない足りない(笑)

CC:そんなにお好きなんですね。どんなところが充実感につながるんですか?

A:何でしょう、結構いろんなジャンルをやるので、どんなところが~って言い切れない気もするんですけど…共通しているのは、次々クリアしないといけないタスクが出てきて、飽きないってことと、前にできなかったことができるようになると、自分の成長を感じるな~と思って嬉しくなります。

CC:やることが次々出てきて飽きないことと、自分の成長を感じるところなんですね~。……なんだか、Aさんがさっき仰ってた、社会人3年目までに仕事で感じていたことと、似てるような気もします。

A:あ、確かに!それはそうかもしれないですね。

CC:ゲームで楽しいと思うところと、仕事で楽しいって思っていたところの意外な共通点かもしれないですね。

A:そうですね…新しいタスクが出てきて飽きないということと、できないことができるようになることって、僕にとって大事なことなのかもしれないですね。

CC:いろんな方面で、向上意欲をお持ちなんですね。

A:意外とそうみたいですね…今、仕事でやっていることに飽きているというか、多分目標が定まってないから、そういう自分に違和感があるのかもしれないですね。

CC:仕事に飽きている、目標がない自分は、Aさんとしては違和感ですか。

A:そうですね。仕事でも新しいタスクを増やしたり、何かにチャレンジするような状況を作れるといいのかな~。…でも、仕事で重いことが増えすぎると、プライベートでゲームをする余裕もなくなっちゃうかもしれないなーとか心配もあって。それはちょっと嫌ですね(笑)

CC:プライベートに影響するほどはちょっと嫌(笑)。メリハリつけたい感じですかね。

A:ですねえ。

3.Aさん自身の価値観にフィットする目標や方向性について一緒に考える

CC:例えば、ゲームとかプライベートの時間を確保しつつ、仕事で何かの目標を立てられるとしたら、どんな目標でしょうね?

A:…え~難しいですね。

CC:難しいですよね~。

A:う~ん……

CC:……一旦、別の視点で考えてみます?例えば、ゲームで、慣れた敵やステージでも、それを飽きさせずにプレイさせる工夫ってあったりします?

A:……う~ん、アイテムを制限したり、敵のHPが増えたり、時間縛りがある…とかですかね。

CC:それって例えば仕事で似たような状況を作れたりしませんか?

A:あー、面白いですね。同じことをするのでも、時間縛りとかやりやすいかもしれません。

CC:同じ仕事でも、これまでよりも短い時間でやってみる、みたいなイメージでしょうか。

A:それ、やりこみ要素みたいで面白いかもしれないです。

CC:そしたら、プライベートの時間ももっと確保できるかもしれないですね。

A:あ!それ大事ですね(笑)

CC:大事ですよね~。ちなみに、短い時間でやるために、仕事でできそうな工夫について、今イメージはありますか?

A:パッと思いつくのは、想定工数×0.8掛けくらいを目標にして取り組んでみるとか……。ちょっと長い目で見るなら、自分しかできない作業があるとその作業が永遠に自分に振ってくるんで、後輩とかメンバーにやり方共有して分担してもらうとか?迷惑かけない範囲で、って感じですけど。

CC:いろいろ浮かびますね。となると、ちょっと今見えてきた今後の方向性、というのは、例えば直近は「仕事の効率化」「後輩や他メンバーへのノウハウの共有」って感じですかね?

A:そうまとめるとそれっぽいですけど…そんなんでいいんですかね?直近すぎませんか?

CC:直近すぎると、あまりよくない感じがします?Aさんの中で、方向性っていうとすごく先のこと、みたいなイメージですか?

A:そうですね、そんなイメージですね。

CC:キャリア理論もいくつか種類があるんですけど、イメージしやすいやり方、って人によって違うんですよね。大きな目的地を置いてそこまでステップを重ねるタイプとか、小さな矢印を積み重ねて目的地に着くタイプとか、いろいろあると思うんですね。

今、大きな方向性を描けなくても、イメージしやすい方から取り組んでみるといいのかな、と思います。

A:あー、ゲームでも、先に目的が明らかになっていてそのためにレベルアップするパターンと、自分の選択肢でルート分岐してエンディングが変わるパターンと、いろいろありますもんね。そう言われると納得です。

CC:それイメージしやすいですね(笑) 

A:結構、周りの人とか見て、自分目標とかないな~って焦ったりもしてたんですけど、やってる“ゲーム”の種類が違うのかもしれないな~とか。

CC:面白いですね。それに、Aさんも、その時々でやりたい“ゲーム”の種類も変わるかもしれないですしね。

A:確かに。そうなったらまた、こんな風に相談したり、上司にもっとレベル高いタスクにチャレンジしたいんです、って言ってもいいかもしれない。

CC:そうですね。自分がどんな“ゲーム”がしたいか、時々考えてみるために、ぜひこちらもうまく活用してください。

A:そんな風に考えていいんですね!キャリアってもっと、ガチガチにいろいろ、まじめなことを考えるものだと思っていました。結構、「面談」って言葉に構えている人もいたので、「ゲームの話で盛り上がったわ」って言っていいですか(笑)

CC:ぜひぜひ(笑)

キャリアコンサルタントが面談の中で大切にしていること

いかがでしたか?Aさんの気持ちの引き出し方や面談の進め方など、イメージを掴んでいただけましたか?
こちらのAさんの例はあくまでフィクションなので、実際に一回でここまでまとまるかはわかりません。しかし、基本方針は一緒です。

まずは、従業員おひとりおひとりの自己理解を深めていくことで、しっくりくるキャリアイメージや方向性を作っていくことが大切です。その際、業界に関すること、自社の役職や別部署や昇進に関することなど、本人が思索するのに必要な情報収集を本人にしてもらうことで、視野を広げてもらうこともあります。

次に、面談で話し合った内容を、現場や日頃の業務で実践してもらい、その結果がどうだったかを確かめてもらうことも重要です。

「自己理解を深めて視野を広げ、気づいたことを現場で実践し、そこから得られた情報をまた自己理解につなげる」―このサイクルを回すことによって、自身のキャリアイメージやプランへのさらなるコミットが可能になるのです。

さいごに

今回の事例にその場面はありませんでしたが、面談中に出てきた内容について、本人が望み、会社にも共有したことがよさそうな内容があれば、会社と連携するのが良いでしょう。

例えば、面談の中で昇進や異動の意思が明確になった場合、その情報を共有して、会社からの配慮やすり合わせの余地はないか等をご検討いただくと、従業員にとっても会社にとってもよりよい落としどころを見つける一助になるでしょう。

株式会社アドバンテッジリスクマネジメント
組織ソリューション部 コンサルタント

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【筆者プロフィール】

「アドバンテッジJOURNAL」編集部

「アドバンテッジJOURNAL」編集部
導入企業数3,140社/利用者数483万人のサービス提供実績と、健康経営銘柄に3年連続で選定されたアドバンテッジリスクマネジメントの知見から、人事領域で関心が高いテーマを取り上げ、押さえるべきポイントやつまずきやすい課題を整理。人事担当者や産業保健スタッフの“欲しい”情報から、心身のヘルスケアや組織開発、自己啓発など従業員向けの情報まで、幅広くラインアップ。「ウェルビーイングに働く」ためのトピックスをお届けします。

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