コロナ禍で集合研修の開催が難しくなるなか、オンライン研修を取り入れる企業が増えています。eラーニングと組み合わせればさらに学習効果を高めることができ、このように複数の研修を組み合わせた研修方法を「ブレンディッドラーニング」といいます。
アメリカではすでに普及し、日本では近年注目を集めている新しい研修の形です。この記事では、集合研修とeラーニングのメリット・デメリットとともに、ブレンディッドラーニングを活用するコツや導入時に注意したいポイントをご紹介します。
目次
◆ブレンディッドラーニングが注目された背景とは
複数の研修方法を組み合わせる「ブレンディッドラーニング」は、集合研修とeラーニングのメリットを活かしながら双方のデメリットを解消できます。
集合研修とeラーニングのメリット・デメリットは次のとおりです。
集合研修 | eラーニング | |
メリット | ・直接コミュニケーションがとれる ・モチベーションを保ちやすい ・その場で講師へ質問ができる | ・自分のペースで進められる ・時間や場所に縛られない ・低コストで導入できる |
デメリット | ・受講人数が制限される ・時間や場所の調整が必要 ・会場費や交通費がかかる | ・コミュニケーションがとれない ・モチベーション維持が難しい ・その場で講師へ質問できない |
このように、研修方法にはメリット・デメリットがあります。ブレンディッドラーニングが注目される理由は、それぞれの研修方法に内在する弱点を補いながら、双方のメリットをうまく融合できるからです。
また、コロナ禍で普及が拡大している研修方法に、リアルタイムでやりとりが可能な双方向型のオンライン研修があります。時間の調整は必要ですが場所の制約がなく、講師や受講生と直接コミュニケーションがとれる研修方法です。
オンラインでも集合研修に近い形で実施でき、eラーニングとブレンドすることで研修効果が上がります。
◆ブレンディッドラーニングとは?
ブレンディッドラーニングとは、複数の研修を組み合わせ、それぞれのメリットを最大限活かすプログラムです。デメリットをカバーしながら双方のよい面を最大化できるため、高い研修効果が得られるといわれています。
ブレンディッドラーニングの代表例は、従業員を研修施設に集めて実施する対面型の集合研修と、個人がインターネットを通じて受講するeラーニングの組み合わせです。eラーニングで得たデータがあれば受講者によりフィットした集合研修を設計でき、研修全体の価値や効果を高められます。
eラーニング、集合研修をそれぞれ単独で実施するよりも、2つの方法をブレンドすることでより高い効果を発揮できるのです。
先ほど述べたように、昨今は集合型研修に代わり、双方向型のオンライン研修も普及していますが、本記事ではわかりやすく「集合研修」と「eラーニング」を例に挙げます。
ブレンディッドラーニングは次のような流れで活用します。
1. eラーニングで知識を得る
2. 集合研修で実践的な学習をおこなう
3. eラーニングで復習する
集合研修の前後にeラーニングを組み込むのは、ブレンディッドラーニングにおいては代表的な活用パターンです。あらかじめeラーニングで基礎を学んでおくことで、集合研修ではすぐに実践的な学習に取り組めます。研修が終わった後はeラーニングで復習し、学習内容の理解を深めていきます。
◆ブレンディッドラーニング導入で注意すべきポイントとは?
ブレンディッドラーニングの導入にあたり注意すべきポイントは次のとおりです。
1. eラーニングと集合研修のどちらに振り分けるか整理する
ブレンディッドラーニングは複数の研修を組み合わせることで効果を高めますが、複数の研修を取り入れさえすれば効果が得られるものではありません。あらかじめ研修内容をよく確認し、eラーニングと集合研修のどちらに振り分けるか整理する必要があります。
実施のタイミングを間違えると思うような効果が得られない可能性があるため、どの内容をどの方法で実施するのか事前にしっかりと検討しておかなければなりません。
2. eラーニングの期限を厳格に管理する
ブレンディッドラーニングは、eラーニングで個人が基礎を学習したうえで、集合研修によって応用に取り組むのが基本的な流れです。この場合、研修全体の価値を高めるには、eラーニングによる事前学習で基礎を身につけておく必要があります。
eラーニングで課したプログラムの修了が前提となるため、事前学習のスケジュールは厳格に管理しなければなりません。事前学習が終わっていない受講者にはメールを送信して受講を促し、受講者全員が基礎を身につけた状態で集合研修に臨めるように体制を整えましょう。
◆まとめ
ブレンディッドラーニングの効果を最大化するには、eラーニングと集合研修のどちらに内容を振り分けるか事前に検討し、適切なタイミングで研修を実施する必要があります。ブレンディッドラーニングをうまく活用できれば個人の学習効果を高められるとともに、研修全体の価値が向上するでしょう。
受講者のモチベーションや生産性を上げるために、企業には質の高い研修の実施が求められます。在宅勤務が続く企業も多いなか、研修の形態も工夫が必要です。
弱点を補いながらメリットを最大化できるブレンディッドラーニングは、日本でもますますスタンダードな研修方法になっていくでしょう。
そうはいっても、どのように対応するべきか悩まれている人事労務担当者も多いのではないでしょうか。
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