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HRテックとは?導入のメリットをご紹介

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「アドバンテッジJOURNAL」編集部

「アドバンテッジJOURNAL」編集部

少子高齢化による人材不足が叫ばれている現代社会。さらに、昨今はニューノーマルな働き方が広まり、企業における人事の役割は今までにないほど大きくなっています。

そうしたなか、採用活動の難航や雇用のミスマッチによる人材流出、煩雑な労務管理など、人事にまつわるあらゆる問題を解決するためのツールとして導入を検討されているのが、「HRテック」と呼ばれるサービスです。

この記事では、HRテックでできることやその効果をご紹介します。

◆HRテックとは

HRテックとは、「Human Resources(人材)」と「Technology(科学技術)」を組み合わせた造語です。クラウドやビッグデータ解析、人工知能(AI)などの最先端技術を駆使し、採用・配置・育成・組織改善などの人事業務や課題に対し、効率化や精度の向上を図ります。

近年、HRテックの市場規模が急速に拡大しています。IT・ネット分野の市場調査をおこなうミック経済研究所が2021年1月22日に発刊した『HRTechクラウド市場の実態と展望 2020年度版』によると、2020年度におけるHRテッククラウド市場は426.0億円となりました(前年比124.6%)。

さらに、2021年度のHRテッククラウド市場は566.0億円、2025年度には1,710億円になる見込みです。
健康経営やダイバーシティ、働き方改革など、人事の担う役割が大きくなっている昨今、扱う情報も増えてきています。従来のアナログな管理方法では人事の業務負担は増えるばかりでしょう。

HRテックの活用によって人事業務の効率化が期待できますが、何を達成するための業務効率化なのか、HRテックの導入前にその目的を明確にする必要があります。

◆ HRテックでできること

HRテックを活用すれば、人事にまつわるさまざまな業務の効率化が期待できます。
ここでは、 HRテックでできることの例をご紹介します。

採用管理

採用管理に関連する求人票の作成・掲載や採用活動の進捗管理、マッチング分析、内定者フォローといった時間や手間のかかる業務の一元管理が可能です。応募者のエントリーから合否までの進捗をリアルタイムで確認することができます。また応募者の適性と、自社とのマッチングを行うことでミスマッチの防止につながります。

その結果、早期離職の防止による長期的なコスト抑制も期待できます。

人材・配置管理

従業員の配属部署や人事考課、スキル、健康情報などを一元管理できます。HRテックによって従業員一人ひとりの情報や評価を可視化できるため、その人の能力に合った最適な人材配置が可能です。また、評価者の主観だけでなく、客観的データに基づいた評価や人事異動には、従業員の納得感を高める効果もあるでしょう。

人材育成

適切な研修・学習の提案や受講・学習状況の把握が可能です。またエンゲージメントなど従業員向けのサーベイにより受講後の効果測定を行い、実施、効果検証、改善のPDCAサイクルを回すことができます。

社内コミュニケーション

業務を円滑に進めるには、社内コミュニケーションが欠かせません。HRテックを活用すれば、従業員専用の掲示板やチャットでやりとりでき、互いのスケジュールや業務進捗をリアルタイムで共有できます。従業員同士のつながりを持つことで、社内コミュニケーションの活性化につながります。

労務管理

採用者の雇用や社会保険の手続き、従業員の勤怠、残業時間などを管理でき、手続き上のミス防止や出退勤の正確な把握が可能です。HRテックによって従業員一人ひとりのさまざまな労務関連データを一元的に管理することで、労務業務の改善や効率化ができます。

組織管理

データ解析を得意とするHRテックでは、組織の状態を分析したり、適切なKPI設定施策実施による組織改善が可能です。企業の現状を可視化でき、客観的なデータ解析によって公正に組織を管理することができます。

◆HRテック導入で期待できる効果

右肩上がりになっているグラフが書かれた紙

HRテックの導入は企業にさまざまなメリットをもたらしますが、導入の際には目的をはっきりさせることが重要です。HRテックは導入するだけで効果を得られるものではなく、あくまでも目標達成のためのツールとして活用すべきです。

ここでは、HRテックの導入によって期待できる効果をご紹介します。

人事業務の効率が上がる

属人的に扱われていた各種データを集約することで、管理や分析などの作業が自動化され、業務負担を減らすことができます。効率化によって生まれた時間を人事施策の企画や実行に充てることができるようになります。

データの管理や分析は、何かを実現するためのステップに過ぎず、目的を実現するための施策に注力できる環境づくりが重要です。また、働き方改革の観点においても、作業効率が上がることで長時間労働の解消に効果が見込めます。

企業とのミスマッチが減る

従来の経験や勘に頼った人材採用、人材管理から脱却し、合理的なデータにもとづく精度の高い採用を実現するだけでなく、入社後の適材適所も実現できるようになります。公正で適切な配置や評価、組織運営は従業員の納得感を高め、エンゲージメント向上につながります。

また、仕事に対する熱意、企業への貢献意欲が高まることで、離職防止にもつながり、採用コストも最小限に抑えられるようになります。

健康経営の実現

企業による従業員の健康管理は組織の業績向上に影響するという考えのもと、健康経営への注目が高まっています。健康経営とは、従業員の健康を経営的な視点で考え、戦略的に実践することです。HRテックで従業員の心身にまつわるデータを集約し、管理することで、多角的な視点から課題を見つけ出すことができ、リスクの早期対応につながります。

また、多種多様なデータを集約すれば、施策の効果も分析しやすくなります。PDCAサイクルを回すことで、健康経営の実現に近づいていくのです。

企業全体の生産性が高まる

HRテックの導入による人事業務の効率化やミスマッチの防止、健康経営の実現は、結果的に企業全体の生産性を高め、ひいては企業価値の向上につながります。

HRテックによって人材管理の領域におけるさまざまなプロセスを自動化すれば、煩雑な作業をシステムに任せることができるうえ、合理的なデータ分析によって適切に人材を管理できます。公正な人材管理システムは従業員のモチベーションやエンゲージメントを高めるため、企業全体の生産性アップにつながり、企業のさらなる成長を後押しします。

◆まとめ

HRテックが昨今トレンドワードとなったことでソリューションの細分化が進み、それぞれの領域に個別最適のサービスが存在しています。それらのサービスはいずれも、導入するとあらゆる人事的な課題が解決しそうなイメージを持ってしまいます。

しかし、本当にそのサービスが現在自社の抱える人事課題の解決に役立つものなのかを理解していないと導入しても意味がありません。まずは、従業員の課題をストレスチェックやパルス調査などで個人や組織として可視化するところから始め、自社の抱える人事的な課題(何が離職増加につながっているのかなど)を確認することをお勧めします。

そうすることで、採用や育成などアクティブな人事施策も効果的に検証を進めながら実施することができるのではないでしょうか。

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【筆者プロフィール】

「アドバンテッジJOURNAL」編集部

「アドバンテッジJOURNAL」編集部
導入企業数3,140社/利用者数483万人のサービス提供実績と、健康経営銘柄に3年連続で選定されたアドバンテッジリスクマネジメントの知見から、人事領域で関心が高いテーマを取り上げ、押さえるべきポイントやつまずきやすい課題を整理。人事担当者や産業保健スタッフの“欲しい”情報から、心身のヘルスケアや組織開発、自己啓発など従業員向けの情報まで、幅広くラインアップ。「ウェルビーイングに働く」ためのトピックスをお届けします。

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