新型コロナウイルス感染拡大によって、環境が大きく変化しました。このような状況から、ビジネスシーンにおいては「自律型人材」が求められているのではないでしょうか。「自律型人材」とは、自らで考え行動できる人材、自らの役割を判断して行動できる人材、と定義できるかもしれません。
それに加えて、「自分の仕事に専念・集中できる環境を“自ら創りだせる”人材」であることが必要だといえます。コロナ禍では、在宅勤務(テレワーク)が急速に拡大し、コミュニケーション方法も大きく変わりました。こうした変化に対応できる「自律型人材」をどうやって見極めるべきか、ご紹介します。
※本記事は、7月2日に当社が実施した「Withコロナ時代に求められる「自律型人材」を適性検査から見極めるウェビナー ~ストレス耐性編~」の内容(一部)を編集しています。
目次
自律型人材とは
「自社に必要な自律型人材とは、どのような人材か」を聞いたアンケートがあります。上位には、「常に自ら考え、主体的に仕事を進めていく人」、「組織の戦略や方針から、自らの役割や課題を考え、率先して目標達成に取り組む人」が挙げられています。
また、「自社の自律型人材に求められる重要な能力・スキル」については、「変化対応力」や「柔軟な思考・柔軟性」、「コミュニケーション力」が上位となっています。ニューノーマルな働き方へとシフトする今、これらはますます重要な能力・スキルとして位置づけられていくでしょう。
コロナ禍において、多くの企業において在宅勤務の導入が進みました。在宅勤務のメリットとして多くの人が挙げているのは「自分の仕事に専念・集中できること」です。仕事の効率が上がり、生産性が向上するとともに、ストレス低減にもつながっていることが推測されます。
逆にデメリットとしてはオン・オフの切り替えや気分転換が難しいことではないでしょうか。企業の方からは、「集中しすぎるあまり、際限なく仕事をしてしまう」「場所が変わらないので気分転換が難しい」といったことや、逆に「リラックスしてしまい仕事に取り組む気分になれない」といったお悩みを多く聞きます。
在宅勤務においては、いかに気持ちを切り替えて、モチベーションを維持していくかが課題といえます。そして、こうした状況をうまく対処するためにはメンタル面のマネジメントがカギとなってきます。
当社のデータから、ある企業において、メンタル面に課題が見られる人ほど、在宅勤務によって生産性が低下する傾向にあることがわかりました。メンタル面の課題を解消するには周囲のサポートも重要な緩衝要因となりますが、在宅勤務ではいつも通りにいかない難しさがあるといえるでしょう。
これまでのように出社が当たり前の環境であれば、上司など周囲の人が気づいて声掛けをしたり、即座にケアをできたりしていたものが、そうではなくなっているのです。つまり、従業員自身が主体的にストレスに対処することがより一層求められているのです。
自分の仕事に専念・集中できる環境を自ら創りだすために
変化が大きく、先が見えない状況でも自分の仕事に専念・集中できる環境を自ら創りだせる人材を育成するためには、何が必要なのでしょうか。
主なポイントは、
・変化を柔軟に捉え、自身のストレスについて適切に対処できること =ストレス耐性
・うまく気持ちを切り替えながら、仕事上必要なコミュニケーションが取れること =コミュニケーション能力
の二つといえます。
本記事では、「ストレス耐性」について触れていきます。
(「コミュニケーション能力」については、今後別記事にて紹介予定です)
採用における落とし穴 ~なぜメンタルの強さを見抜けないのか~
採用現場で、このようなことは起こっていないでしょうか。例えば、ストレス耐性がありそうだと見極めて採用した人材が、実は自発的に相談できないタイプだった、といったことはありませんか?つまり、面接時と入社後のギャップが生じてしまうパターンです。
実は多くの場合、メンタルの強さ(ストレス耐性)について深堀りをする質問ができていないことが考えられます。精神的な負荷を感じた出来事を確認することはあっても、その出来事とどのように向き合ったか、深堀りはできていますか?
また、「当社はこんな大変なことがあるけど大丈夫?」と確認しても、当然前向きな返事が返ってくるので、こうした質問から本音を見抜くことは難しいといえます。そして、面接官によってメンタルの強さの捉え方にばらつきがあることも問題です。
面接官自身の経験に基づいた判断がなされ、評価がバラバラになってしまう懸念があります。ストレス耐性は表面化しにくいだけでなく、明確な判断基準がないことで、入社後の大きなギャップに繋がってしまうのです。
面接でメンタルの強さを確認する方法とは
それでは、その落とし穴に陥らないためにはどうすれば良いのでしょうか。面接時に確認できるチェックポイントをお伝えします。
1.ストレスを感じた経験を“複数”確認する
例)
・人の評価が気になってやりたい事に取り組めなかった経験
・頑張ったが、目標に到達できなかった経験
・自分のミスで人に迷惑をかけた経験
・周りの変化に適応できなかった経験
・思いつきで行動して後で後悔した経験
・自分に注意や叱咤激励をした人と関係性が途絶えてしまった経験
企業のカラーに併せて、いくつか聞いてみるのが良いでしょう。
2.1で聞いた状況をどのように乗り越えたかを確認する
チェックポイント
・失敗について、どのように向き合って行動したのか?(諦めたか、諦めずに対処しようとしたか)
・問題の渦中にあって、周囲の人に相談をしたり助けを求めたりしたか?
ここで大事なのは、【主体的に対処行動を取ろうとしていたかどうか】です。例えば「周りの助けを得た」といっても、周りが見かねて手を差し伸べてくれたのか、自ら助けを得ようと行動したのかでは状況が異なります。後者は困難な状況を打破し乗り越えるために自ら行動した、つまり“主体的に対処行動を取った”といえるのです。
3.ストレス経験から得たものを確認
チェックポイント
・周囲からの上手なサポートの受け方を会得できたか
・ストレスの原因となった人物や物事との折衝能力はついたか
・失敗を乗り越えたことで自信は醸成されたか
・多少のトラブルでも取り乱さずに対応できる力はついたか
これらについてしっかりと回答できる学生は、入社後も実際に対応できる可能性が高いといえるでしょう。具体的な行動に落とし込み、自身のノウハウとして身についていることが理想です。
オンライン面接でメンタルの強さを見抜くために
昨今オンラインでのやり取りが増えていますが、採用面接もその一つです。ベテラン面接官が読み取れていたしぐさ、不安を感じた際の目の動きや態度は、画面越しでは伝わりにくいものです。表面化しにくいストレス耐性についてはなおさらではないでしょうか。
それでは、オンライン面接が増えている今、ストレス耐性をどのように見極めていくのが良いのでしょうか。これまでは、対面で感じた空気のように、感覚的な情報で合否判断をすることがあったかもしれません。しかし、今のような環境下では、適性検査を活用し、定量化したデータをもとに判断をしていくことが合理的といえます。
適性検査を効果的に活用するためには、面接前に結果が出ていることがポイントです。面接で見抜きにくいポイントを可視化することで、より適切な質問を投げかけることができるのです。
適性検査の選び方
一般的な適性検査は、人間の行動のベースである「基本的な資質」について「学力」と「性格」の2領域を測定するものが多くありますが、加えてストレス耐性を見極めることができる適性検査が望ましいでしょう。その際、将来的なリスクだけでなく、現在の状態についても測れることがポイントです。
変化がめまぐるしい社会に対応しながら成果にむかう行動を発揮できる人材を見極めることはもちろん必要ですが、入社後の育成も忘れてはいけません。実は、ストレス耐性はトレーニングすることで伸ばすことができるのです。入社後、適性検査の結果を本人にフィードバックすることで、自身のストレス耐性・特徴を把握し、自分自身にあった対処方法を身に付けていく動機づけもできます。
ストレス耐性の見極めだけでなく、適切なセルフケアを促すための資料としても活用できる適性検査の導入を検討してみてはいかがでしょうか。