赤く表示された人と、紐に結ばれた複数の人型置物

「コミュニケーション不全」は高リスク!改善に向けて管理職に求められる行動とは

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「アドバンテッジJOURNAL」編集部

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昨今、働き方が大きく変化するなか、特に上司部下間を中心としたコミュニケーション不全を課題とする職場が増えてきているようです。コミュニケーション不全の状態が継続すると、メンバーのエンゲージメント低下や高ストレス者増加、早期離職の増加につながります。

企業としては、コミュニケーション不全が引き起こすリスクを認識したうえで、適切なアプローチを推進していくことが重要です。

※本記事は、2021年12月10日に当社が実施したセミナー「上司部下のすれ違いを防ぐ!コミュニケーション不全解消のポイント」の内容(一部)を編集して配信しています。

なぜ職場でコミュニケーション不全が起こるのか

管理職にメンバーとの理想の関係についてヒアリングすると、大きく二つに分かれます。一つは、上司として部下から一目置かれる関係、そしてもう一つは、心の距離が近く風通しが良い関係です。

上司として、「部下に信頼されたい」「部下をしっかりとマネジメントしたい」という思いとともに、同じチームの仲間として、「一緒に楽しく仕事がしたい」「自分も一人の仲間として見てほしい」という、それぞれの立場での理想を持っているのではないでしょうか。

では、理想を実現するために、どのような行動が求められるでしょうか。以下に例を挙げてみます。

■信頼されるための行動例
サポートする、アドバイスする、強めに指示を出す、弱みを見せない など

■心の距離を近づけるための行動例
サポートする、自分から積極的に話しかける、ホスピタリティを発揮する、弱みを見せる など

ご覧になって何かお気づきになることはないでしょうか。上記はあくまでも行動例に過ぎませんが、相反する行動が存在していることにお気づきになりましたか?このように、私たちは、ときとして相反する行動を同時に求められることがあります。「丁寧さ」と「スピード」もその例です。

しかし、その使い分けが難しく、時にはスイッチのオンオフがうまくいかずに、矛盾した行動が混ざってしまうことがあります。管理職がその矛盾する行動をとってしまうことで、部下にうまく意図が伝わらず、結果としてコミュニケーション不全の状態になってしまうのです。

理想の実現のためには、うまく行動を使い分ける必要があります。

コミュニケーション不全によるリスクとは

Riskと表示された虫眼鏡

コミュニケーション不全が起こることで、具体的にどのようなリスクが考えられるのでしょうか。いくつか挙げてみましょう。

【コミュニケーション不全によるリスク】
・情報伝達不足によるトラブルが発生する 
・業務の属人化が進み、円滑に業務が進められなくなる
・意思疎通がうまくいかず、人間関係が悪化する
・部下の成長スピードの低下

そしてこれらの状態が悪化すると、
・帰属意識(エンプロイー・エンゲージメント)の低下
・早期離職の増加
・高ストレス者増加
などのリスクが高まっていくでしょう。

特に、多様な働き方が推進される昨今において、これらのリスクはより一層高まっているといえます。

コミュニケーション不全を解消するために必要な上司の行動とは

これまで目的に応じてうまく行動を使い分ける必要があることをお伝えしました。特に管理職の立場においては、例示したように、さまざまな行動を使い分ける必要があるといえます。まずは「管理職として求められる行動のなかに『矛盾』が存在することを知る」ことが大切です。

そのうえで、「自分自身の行動を振り返る」ことも求められます。自分はきちんとできているだろう、と思われる方もいらっしゃるかもしれません。そうはいっても、プレーヤーとして活躍することも多い管理職の方々には、行動を振り返る時間を意識的につくること自体が難しいという場合も多いのではないでしょうか。

だからこそ、企業としては社内研修の機会を設け、定期的に振り返りの場を提供することが大事になってくるのです。意識して普段の行動を変えることは、たやすくはありません。目標の実践においては、伴走してくれる協力者がいると、さらに良いでしょう。

改善のカギとなるEQ(感情マネジメント力)

EQとは、自身や周囲の人たちの「今の感情の状態を認識」して「感情を調整」する能力のことです。Emotional Intelligence Quotientの略称で、IQ(Intelligence Quotient=知能指数)に対する概念として「心の知能指数」や「感情知性」と呼ばれています。

EQの高い人は、感情に揺さぶられることなく、成果につながるための最適な感情を生み出すとともに、相手の気持ちを理解し、その場にふさわしい行動をとることができます。相手の気持ちや周囲の状況を読み取るだけでなく、自分の気持ちをコントロールしながら、知識、スキルを活用することができるのです。

このEQは、いわば人間のオペレーションシステムとも例えられるでしょう。管理職においては、リーダーシップの向上やハラスメント防止、チームのマネジメントを円滑にすることにもつながります。

EQは、“能力”として測ることができます。また誰でも備わっているものであり、磨き高めることが可能です。管理職研修時にEQを絡めて実施することもおすすめです。自己を振り返る良い機会となるでしょう。

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【筆者プロフィール】

「アドバンテッジJOURNAL」編集部

「アドバンテッジJOURNAL」編集部
導入企業数3,140社/利用者数483万人のサービス提供実績と、健康経営銘柄に3年連続で選定されたアドバンテッジリスクマネジメントの知見から、人事領域で関心が高いテーマを取り上げ、押さえるべきポイントやつまずきやすい課題を整理。人事担当者や産業保健スタッフの“欲しい”情報から、心身のヘルスケアや組織開発、自己啓発など従業員向けの情報まで、幅広くラインアップ。「ウェルビーイングに働く」ためのトピックスをお届けします。

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