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3年で健康経営銘柄に選定された健康経営度調査への取り組みのヒントとは?アドバンテッジリスクマネジメントの健康経営推進担当者に特別インタビュー!【前編】

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「アドバンテッジJOURNAL」編集部

「アドバンテッジJOURNAL」編集部

経営手法の一つとして「健康経営への取り組み」が重要視される昨今、経産省の健康経営優良法人2022には2,869社が申請し、健康経営への意識はますます高まりを見せています。当メディア「アドバンテッジJOURNAL」を運営する当社アドバンテッジリスクマネジメントも毎年調査票を提出していますが、過去3年で順位を600位以上あげ、今年度は念願の「健康経営銘柄2022」に選定されました。
※当社健康経営銘柄特設ページはこちら

今回は健康経営を推進し、調査票の提出を続けてきた人事部兼健康管理室の担当者にその秘訣や裏話をインタビューしました!率直な回答やぶっちゃけトークの内容をお届けします。全18の質問とその回答の中に、来年度以降の健康経営へのヒントを探ってみてはいかがでしょうか。

本記事は前編と題して、健康経営への取り組み全般に関する質問の内容をお届けします!21年度の活動を振り返ったり、健康経営の進め方についてお答えいただきました。

後編はこちら!
3年で健康経営銘柄に選定された健康経営度調査への取り組みのヒントとは?アドバンテッジリスクマネジメントの健康経営推進担当者に特別インタビュー!【後編】

※本記事の内容はすべてインタビュー時点(2022年1月)の情報です。健康経営関連の制度については最新情報をご確認ください。


株式会社アドバンテッジリスクマネジメント
人事部 兼 健康管理室 課長 木浦 佑輝

株式会社アドバンテッジリスクマネジメント
人事部 兼 健康管理室 課長 木浦 佑輝


プロフィール
2014年より当社に入社。採用、人事制度、人材育成などの人事業務全般のほか、従業員の健康と活力向上のための健康経営の推進を担当。健康経営優良法人(ホワイト500)4年連続認定を受ける。


――木浦さん、今回はお時間いただきましてありがとうございます。当社の健康経営の推進を取りまとめる木浦さんに健康経営への施策や調査票の作成に関して色々お伺いできればと思います。よろしくお願いいたします!

木浦:こちらこそ、どうぞよろしくお願いいたします。率直にお答えできればと思います!

今年度の健康経営を振り返って

――木浦さんはこれまで当社の健康経営に関する取り組みをずっと担当されていますよね。今年度は特にその効果や結果が見えた年だったと思いますが、改めて今、振り返っていかがですか?

木浦:事業として企業の健康経営を支援する当社ならではだとは思うのですが、やっぱり健康経営度調査でいいスコアを取るということが会社の価値向上につながるな、と実感できる機会が多かったです。もちろん、従業員の健康状態の改善や施策を通した社内コミュニケーションの促進、採用面や投資家目線など社外からの評価が高まることも嬉しい結果ですが、それに加えて、社内、特に営業の方から感謝の言葉をもらうことも多くありました。

当社が健康経営度調査で評価されるということは、当社の提供サービスの質や信頼性にも多分に影響することになると思います。実際に「営業現場で話しやすくなりました」という声を結構いただきましたね。当然、健康経営への取り組みの最終目標は生産性の向上や投資家目線での社外評価などになると思うのですが、会社の価値にはそういった面からもつながるんだなと実感できた年でした。


――健康経営度調査票を提出してからその結果が出るまでの間、その心境はいかがでしたでしょうか。

木浦:正直にお答えすれば、絶対にスコアは上がるだろうなと思っていました(小声で「嫌な人に映らないといいな~…」)。今年度は新たな施策をしたり、分析をさらに強化したりしたので、提出した調査票を見ても、前回よりもできている項目が増えていました。客観的に見ても、スコアが良くなっているだろうというある程度の自信はありました。


――毎年着実に総合順位を上げ、今年度は1~50位の評価を得ました。ここまで順位を上げることができた要因や秘訣は何でしょうか。

アドバンテッジリスクマネジメントの、健康経営評価の変化


木浦:健康経営度調査に初めて取り組むという段階で、状況整理と選択を重視したことだと思います。最初から何でもかんでもすべて取り組むというのは大変ですし、施策を行ったあとの効果検証は丁寧に行う必要があります。なので最初は現状の棚卸を行い、その中から調査票の必須要件をおさえながら優先度を設定して取り組んでいくことが重要だと考えています。当社はそれを毎年継続していくことで、取り組んだ分数値が確実に改善していきました。


――当初からすべて取り組むのではなく、丁寧な選定と効果検証を毎年続けていくことが大切なんですね。

木浦:はい。一方で、順位が上がっていけば今度はスコアをあげていくことが難しくなります。そうなると今度はより丁寧な調査票の分析が必要です。健康経営度調査の各項目や回答がどのようにスコアに反映されているかのロジックは公開されていません。

ただ、各設問の「~していますか」に”はい・いいえ”で回答したうえで、数値がどう変わっているかを記入していくので、当然選択肢により多くのチェックを入れられた方が点数は良くなるんでしょうし、数値が改善していればいいんだろうなということはわかります。

この辺りを次年度に向けてどう改善していくかをちゃんと施策に落とし込み年間のスケジュールを計画しています。今年度の評価は「調査票とフィードバックをベースにしたPDCAを年間を通して回す」というのを着実に進めていった結果なのかなと思います。


――総合順位が上がっていくと、今度は調査票とフィードバックシートをテクニカルに分析し計画を立てていくことが評価を高めていく上で重要ということですね。

木浦:それに加えて気をつけなければならないのは、健康経営の施策は会社からの一方通行になりがちなものだということです。いかに従業員の皆さんの主体性を導くような取り組みを仕掛けていくかが重要になってくるのかなと思います。

会社がいくら施策を実施しても、従業員に参加してもらえない一方通行の状態では結果は伴ってこないので。施策をやって満足するだけにならないよう進めていくことは理解しているようで難しいところなので、気をつけるべきポイントですね。

健康経営推進への取り組みに関して

――健康経営を推進していく上では、経営理念・方針の設定/組織体制づくり/制度・施策の実行/評価・改善など、様々なフェーズがあるかと思います。それぞれのフレームワークでどのように進めているのでしょうか。

木浦:実際フレームワークごとに推進方法が異なるかというとそうではなくて、基本的に進め方は同じです。昨年度の改善を進めていくということにおいて、調査票内でできている項目、できていない項目を分析し、次年度に向けてここが改善できそうなので進めていきましょう、と施策化することを一つ一つやっているだけです。

ただし、会社の規模や環境などによっては「うちではやりたくてもできない」ということも当然あります。例えば社外への情報開示という点において、「どういった媒体で社外に公開していますか」といったような設問があります。当社は上場企業なので当然、有価証券報告書などはありますが、アニュアルレポートや統合報告書などの海外投資家向けの文書などはありません。

そのような、もともと存在しないものを健康経営度調査のために一から作りましょうというのは工数もコストもかかりますし、やりたくてもなかなかやれないという部分はあります。ですので、それ以外でできるところをしっかり進めていくことで、難易度が高い部分をカバーしています。

当社も以前は決算説明会資料での開示のみだったんですが、前年度からはコーポレートガバナンス報告書や有価証券報告書、あとは株主総会の資料など、IR資料すべてに健康経営宣言と推進の体制図を載せてもらうように関係部署と連携しています。そのように、できるところから着実に進めています。

アドバンテッジリスクマネジメントの健康経営宣言と健康経営推進体制の図
「当社の健康経営宣言と健康経営推進体制の図」


できないところがあるのはもどかしいですが、そこは割り切って他にできることを探してカバーしていくことが当社に限らず重要なことだと思います。


――経営層とのコミュニケーションなどで実際に難しかったことや苦労したことなどはありましたか。

木浦:当社の場合、健康経営が会社の事業に直結していることもあり、当然経営層も健康経営に対して意識が高く非常に協力的なので、その部分においてやりにくさなどを感じたことはないです。いいことはどんどんやっていきましょうというスタンスで、必要であれば投資もしてもらえます。そういう環境にあるので、比較的やりたいと提案したことは柔軟にやらせてもらえます。

ただ、他社においてはこの質問のような観点で苦労するという話はよく聞きます。会社の利益に直接的に貢献があるようには見えづらい健康経営に、時間とコストを投資することに合意をとるのが大変というのはよくある話ですよね。その合意の有無が、年間を通して活動していく上では非常に影響しますので最も大変、かつかなり重要な点ですね。


――経営層から健康経営推進の合意を得るためのポイントとはどういったことでしょうか。どのように経営層にアプローチすればよいでしょうか。

木浦:経営層には、従業員の健康維持、増進にかかる費用をコストではなく、「投資」であると認識してもらうことが重要です。従業員の健康増進は生産性の向上や企業イメージアップなどにつながるため、そのための費用は将来への投資であるという考えによって、健康経営を経営的な観点から推進していくことが求められます。

ですので経営層にそういった認識を持ってもらうために、健康経営の効果検証やその評価結果を経営層に報告しています。そのためにも各施策の実施結果だけではなく、プレゼンティーイズムや生活習慣指標などのアウトカムの推移を見ることで、健康経営の質を評価することを意識しています。


――健康経営の取り組みや調査票の作成において健康保険組合の存在は重要かと思うのですが、どの程度連携を取っているのでしょうか。

木浦:当社は「東京都情報サービス産業健康保険組合(TJK)」という総合健保に加入しているため、連携を取るのは非常に難しいです。単一健保であれば会社と健保で定期的にミーティングをしたり方針を一緒に考えたりすることが可能ですが、総合健保の場合は一社一社にそのように対応していくのは現実的ではなく、連携はほぼ取れません。

ですが、それで健保と連携してできることはありません、とするのではなく、健保が公開しているデータを参照して調査票に反映したり、健保主催の施策を社内周知するなどを行っています。活用できるところは上手く使っていくというのは、先ほどもお話しした「できるところから進めていく」に共通するところですね。


――経営層の理解と協力を得ながら、健保の情報も活用するなど多角的に健康経営を推し進められていると感じます。そういった中でもまだこういったノウハウが足りないなど、現時点での課題等はありますか。

木浦:自慢ではないのですが、正直にお答えすると思い浮かばないです。。。当社の健康管理室がすごい、というわけではなくて健康経営に関する知識を持つ人が社内に非常に多いためだと思います。施策や色々な場面で皆さん様々な観点からアドバイスをしていただけるので、特に困ることやノウハウが足りないなと思ったことはないです。


――今のお話でいうと当社の人事部の場合、社内のコンサルタントや専門家の方から助言をいただきながら施策の実行や調査票の記入を進めていけるということですよね。「身近に専門家がいてよかった!」と感じたエピソードなどはありますか。

話し合いをしているビジネスパーソン

木浦:そうですね。いくつか例を挙げるのであれば、社内で食事に関する施策を行おうと企画した際に管理栄養士の資格を持つ社員に相談しました。精神保健福祉士の資格を持つ社員にもストレスチェック後の組織改善策などのメンタルヘルス対策の面でアドバイスをもらうこともありますね。

産業医の先生には禁煙に関するセミナーの講師をしていただいたりもしました。社内の有資格者の方に実際に施策に関してアドバイスをしていただく、さらには実行の部分を担ってもらうことができるのは当社ならではと思いますね。調査票の記入に関しても当社のコンサルタントからアドバイスをいただきながら進めていました。

当社がサービスとして提供している健康経営支援コンサルタントやセミナー・研修プログラムなどを活用できるのは非常にありがたいですし、自分の会社ながらいいサービスを提供しているなと感じます。そう言わされているわけではないんですが笑


前編の内容は以上です!後編では健康経営度調査票に基づく質問や、スケジュール・体制に関しての内容をお届けいたします。今年度を踏まえた来年度の展望もお答えいただきましたのでお楽しみに!

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【筆者プロフィール】

「アドバンテッジJOURNAL」編集部

「アドバンテッジJOURNAL」編集部
導入企業数3,140社/利用者数483万人のサービス提供実績と、健康経営銘柄に3年連続で選定されたアドバンテッジリスクマネジメントの知見から、人事領域で関心が高いテーマを取り上げ、押さえるべきポイントやつまずきやすい課題を整理。人事担当者や産業保健スタッフの“欲しい”情報から、心身のヘルスケアや組織開発、自己啓発など従業員向けの情報まで、幅広くラインアップ。「ウェルビーイングに働く」ためのトピックスをお届けします。

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