少子高齢化・人口の減少などにより人手不足感がますます高まるなか、いかにして就活生に選ばれる企業となるかが、近年の企業の大きな経営課題となっています。
2024年卒の学生は、コロナ禍で大学生になり、オンラインで授業を受けてきたいわばニューノーマル世代。ゼミやサークルなど対面の活動が制限される一方で、キャリアに関してはこれまでの世代以上に真剣な傾向があります。
従来とは違う学生生活を送ってきた2024年卒の学生に訴求するポイントは何か?また、どのような対策をとるべきか?企業は特徴を理解して採用活動にのぞむことが大切です。
本記事では、2024年卒新卒採用の傾向から就活生の特徴、採用活動で重視したいポイントを詳しく解説します。
目次
2024年卒の採用動向と就活生の特徴
まず、ここ2~3年の採用動向および2024年卒就活生の特徴を紹介していきます。
①採用活動の早期化
近年の就活スケジュールは年々早期化の傾向にあります。
2023年卒就活生の傾向を見ると、動き出しのピークは3年生の6月でしたが、HR総研の調査によると学生の4割以上が6月以前に就職活動を始めていました。22年卒就活生と比較すると1割ほど多くなっており早期化しています。
早期化傾向は2024年卒就活生も続き、大学2年生の秋冬からすでに就職活動を始めている学生もいます。2021年11月に実施されたウォンテッドリーの調査によると、2024年卒の長期インターンシップ経験率は68%。3分の2が就職活動を見据えて早期から動いてきたことがわかります。
②コロナ禍の大学生活
2024年卒就活生はコロナ禍で大学生活がスタートしました。対面授業がおこなわれず、大学での活動が制限されたため、時間を持て余す中でコロナによる先行き不安感もあり「キャリア意識」が上昇しているのが特徴です。リモートでの授業体制が当たり前だった年代なので、入社後のテレワークへの順応も期待できると言えるでしょう。
就職活動に対しても積極的に情報収集をおこない、準備や対策ができている学年であり、また、企業の新卒採用も回復基調が見られることから、コロナ禍への不安は以前の学年よりも少なくなっています。
いわゆる「ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)不足」についても、アルバイトやインターンシップを活用して対策しています。
③堅実なキャリア感
2021年におこなった就職みらい研究所の調査によると、就活生の企業選びの決め手は、以下の4点でした。
○自らの成長が期待できる
○希望する地域で働ける
○会社・団体で働く人が自分に合っている
○会社や業界の安定性がある
この結果から、現在の就活生の特徴として「自分に合った環境の中で、やりがいを見つけて働きたい」と考えている、堅実なキャリア感が見てとれます。
④SNSを活用した就職活動
コロナ禍においては、オンラインでの情報収集の重要性がとくに上がりました。近年の学生はWebサイトを検索するよりもSNSを活用する傾向があります。
HR総研の調査によると2023年卒就活生が最も利用したSNSは「Instagram」で、次点は「Twitter」です。他の就活生からの情報収集や志望企業からの情報収集を目的にSNSを活用しています。
オフィシャルな情報とリアルな情報を収集し、多角的な視点から企業を見ています。
2024年卒就活生の関心は?
マイナビが2021年12月に実施した『大学生低学年のキャリア意識調査』結果から24年卒就活生の関心を見てみましょう。
1位は「テレワーク、リモートワーク、在宅勤務」で40.6%、2位に「働き方改革」で35.4%となりました。オンライン授業もテレワークへの関心の高さに影響を与えたと考えられます。
ほかにも「男性の育休」「人工知能・AI」「SDGs」が上位10位に入っており、メディアで話題となったニュースワードに関心を持っている傾向がうかがえます。
企業が取るべき採用戦略と対策は
コロナ禍で大学生になった2024年卒就活生は、就職に対し早めに行動してきたことがデータからわかります。企業は、実践型インターンシップ、OB/OGのつながりを活かした大学訪問などで、早期に優秀な就活生との接点をもつことが望ましいです。
また、インターンシップをリアルでおこなう際に、会社の雰囲気だけでなく職場での社員の様子や出社状況にも注目します。テレワーク・在宅勤務の割合、コミュニケーション方法なども説明するといいでしょう。
採用のステップを進めるうえでは適切なフィードバックも重要です。
自分はなぜ評価されたのか?どのような課題があり、どう克服していけばよいか?・・・といったように、学生は自分が企業に評価されたポイントや、企業に求められていることを知り納得感が得られると、入社意欲が高まるものです。「この会社は自分のことをわかってくれている」という企業への評価にもつながるでしょう。
その際、採用適性検査の結果を用いて伝えることも効果的です。結果を本人にフィードバックすることで、自身の特徴を把握し、自分自身にあった対処方法を身に付けていく動機づけもできます。採用面接の質が向上するだけでなく、その結果を活かし入社後に活躍できる可能性を引き上げることもできるでしょう。
そもそも、会社の制度や体制を整えることが大前提です。
通常勤務、テレワーク・在宅勤務一辺倒ではなく、選択肢を用意することが理想です。働き方改革の推進や育休制度など制度が整っているだけでなく、情勢に合わせて柔軟に対応できる会社であることも、優秀な就活生に選ばれるためには重要な要素です。
研修などの教育体制や、メンター制度や1on1といったサポート体制があり、安心して働けるイメージが持てると、さらに意欲が高まるでしょう。
また社員の一員としての会社への帰属意識・貢献意欲(エンプロイー・エンゲージメント)を高められるような双方向のコミュニケーション機会が設けられていることも安心材料となります。
「自分に合った環境の中で、やりがいを見つけて働きたい」というニーズに対し、これらの取り組みは就活生のキャリア感にも適しています。
まとめ
2024年卒新卒採用はこれまで以上に早期化傾向にあるため、企業はインターンシップやOB/OG訪問などを通じて、就活生と早いタイミングで接触することが重要です。
2024年卒就活生は、コロナ禍で培われたキャリア感とオンライン活動を主体としてきた特徴があります。学生時代にオンライン授業を体験してきた学生にとって、テレワークという働き方は「普通」のスタイルであり、活用したいと考える学生が多数派です。そういう意味では、働き方改革を推進することが採用活動にも良い影響を与えます。
生まれたときからインターネットがあり、SNSが身近なツールであり、情報収集力が非常に高いため、SDGsへの関心をはじめとする社会貢献意識の高さも、これからの社会への理解力と見ることができるでしょう。
2024年卒就活性に評価されるポイントを整えることは、新卒採用の成功だけでなく事業活動の変革にもつながっていくはずです。