福利厚生は、従業員やその家族にとって、生活の安定や幸福につながる大切なものです。本記事では、福利厚生の基本とともに、導入による企業側のメリットや注意点、選び方などを解説します。併せて、従業員に喜ばれやすい福利厚生の種類も具体的に紹介。自社の福利厚生について見直しを考えている担当者は、ぜひ参考にしてください。
目次
福利厚生の概要
採用応募者にとって、福利厚生は企業選びの基準の1つとも言われています。福利厚生を充実させたいと思う一方で、その範囲をしっかり理解できていない企業担当者も多いのではないでしょうか。そこでまずは、福利厚生の概要を押さえておきましょう。
福利厚生とは
福利厚生とは、雇用主が労働者に対し提供する給与以外のサービスのことで、基準を満たした従業員が平等に受けられる制度です。近年では正社員だけでなく、パートやアルバイトなども対象とする企業が増えてきています。
福利厚生は「法定福利厚生」と「法定外福利厚生」に大きく分けられます。次はそれぞれの種類を見ていきましょう。
法定福利厚生の種類
法定福利厚生は法律によって企業に義務づけられている福利厚生のことです。具体的には次の6種類で、主に社会保険という位置付けとなります。
<法定福利厚生の種類>
・健康保険
・介護保険
・厚生年金保険
・雇用保険
・労災保険
・子ども・子育て拠出金
法定外福利厚生の種類
法定外福利厚生は、企業が自社の裁量で自由に導入できる福利厚生のことです。さまざまな種類がありますが、厚生労働省では、法定外福利厚生を主に次の7種類、およびその他に分類しています。
<法定外福利厚生の7種類>
・住宅関連
・健康・医療関連
・育児・介護支援関連
・慶弔・災害関連
・文化・体育・レクリエーション関連
・自己啓発・能力開発関連
・財産形成関連
<その他の法定外福利厚生>
・社員食堂
・企業オリジナルの福利厚生 など
福利厚生における企業側のメリット
従業員の生活や健康の安定を守ることにつながる福利厚生の充実は、従業員だけでなく企業側にもメリットがあります。例えば、従業員の能力発揮を促し、企業の生産性アップが期待できるのは大きなメリットです。従業員の満足度が向上することで、離職率低下・人材確保も期待できます。また、従業員のことを考えた福利厚生の整備は、結果的に企業の社会的信頼性につながっていくでしょう。
従業員の満足度がアップする法定外福利厚生
企業が自由に導入を決められる法定外福利厚生は、一般的には従業員のメリットに直接つながるものも多くあります。必ず導入しなければならないわけではありませんが、導入状況は従業員の満足度やモチベーションなどに大きな影響を与えるでしょう。ここからは法定外福利厚生(以下、福利厚生)を掘り下げ、特に従業員の満足度がアップするものをいくつか紹介します。
① 住宅や通勤に関する福利厚生
住宅に関する補助は、福利厚生の中でも特に人気の高い種類です。
<住宅に関する主な福利厚生例>
・住宅手当の支給家賃補助・通勤手当の支給
・社宅独身寮の用意
・引っ越し代の支給
住宅手当は、一定額の手当を毎月給与とともに支給するものです。従業員は住宅ローンや家賃の負担が軽くなるというメリットがあります。
② 食事を補助する福利厚生
昼食の補助など、食に関する福利厚生も従業員に喜ばれやすいでしょう。
<食を補助する主な福利厚生例>
・仕出し弁当の配達
・食品販売の自販機を設置
・提携の飲食店で使える食事チケット配布
・社員食堂の設置
食事代の補助は企業が負担する金額や内容により、非課税で福利厚生費として計上できるかが変わってくるため、しっかり計算したうえで検討を進めてください。
③ 介護や育児、生活との両立支援を図る福利厚生
仕事と生活のバランス、いわゆるワークライフバランスを上手くとることは従業員にとって非常に大切です。育児や介護との両立を図りながら働く従業員も増えており、ニーズは高いと言えます。
<介護や育児、生活と仕事の両立を図る主な福利厚生例>
・配偶者が出産した際の有給休暇制度
・子どもの看護休暇
・認可外保育園料の補助
・ベビーシッターや家事代行のサービス利用
・介護用品の補助金支給
・介護サービス利用の補助金支給
なお、子育てと仕事の両立支援に取り組む企業は、内容によって国から助成金を受けることができます。積極的に取り入れると良いでしょう。
④ 健康・医療をサポートをする福利厚生
従業員の心身の健康が崩れたり、働くモチベーションが下がったりすると、企業にとってもマイナスの影響が発生します。企業の資産である従業員の健康や安心を守る福利厚生を選びたいところです。
<健康・医療をサポートする主な福利厚生例>
・人間ドック費用など法定外検診の補助
・メンタルヘルスケアサービスの導入
・GLTD(団体長期障害所得補償保険)制度の導入
特に、病気やケガなどで長期的に働けなくなったときの収入減をサポートする損害保険を活用したGLTD制度は、健康経営施策のひとつとして近年注目を集めています。
➄ 従業員のリフレッシュにつながる福利厚生
従業員のリフレッシュをサポートする福利厚生も人気です。休暇や余暇を楽しめるような福利厚生は、従業員のモチベーションアップにもつながりやすいでしょう。
<リフレッシュをサポートする主な福利厚生例>
・リフレッシュ休暇制度
・誕生日休暇
・宿泊施設の優待
・スポーツクラブの優待
・映画やレジャー施設の優待
⑥ ウェルビーイングの実現に特化した福利厚生
近年では、従業員のウェルビーイング実現に特化した、ウェルビーイング支援型福利厚生サービスも登場しています。幅広く割引が適用される反面、各々の割引インパクトが少ないこれまでの福利厚生サービスとは異なり、健康支援や、育児・介護等と仕事との両立支援、女性活躍支援や自己啓発支援など、従業員のウェルビーイングを高める要因に対し、大幅な割引を実現しています。
アドバンテッジリスクマネジメントでは、従業員のウェルビーイングを高める福利厚生パッケージ「アドバンテッジWellGage」も提供しています。
福利厚生の選び方と導入方法
福利厚生をどのような視点で選んだら良いのかは多くの企業が悩むところです。そこで、福利厚生の選び方と、導入方法について解説します。
福利厚生の選び方
福利厚生は、以下のポイントを押さえて選びましょう。
<福利厚生を選ぶ時のポイント>
従業員のニーズをとらえているか? | アンケートを実施し、どのような福利厚生が欲しいか意見を募ると良い。 |
従業員に対して公平性があるか? | 特定の従業員しか利用できないような福利厚生は従業員の不満につながる可能性がある。 |
従業員にしっかり活用されるのか? | 導入する福利厚生が本当に従業員が利用したくなるものか、実績などをみて判断する。 |
福利厚生の導入方法
福利厚生は自社で運用を行うか、外部に委託するかの2種類の導入方法が考えられます 。各種手当などの金銭的な制度や特別休暇制度の導入などは、自社でも比較的運用しやすいでしょう。
一方、サービス提供に関する福利厚生は、外部の専門企業による福利厚生パッケージプランなどを活用した方が、従業員のニーズに沿った内容を提供できることもあります。
福利厚生を導入する際には、自社運用か外部委託のどちらの導入方法が適しているか、従業員のニーズや具体的にそこにかかる費用などの見込みを立てながら考えてみましょう。
福利厚生を選ぶ際の注意点
福利厚生を導入・運営するにあたり、コストなどの負担が企業側に発生することは意識しておきましょう。利用状況の把握に努め、費用対効果を検討しながら定期的に見直すことも必要です。
また、申請書類の作成・受付、利用機関とのやりとりなど、福利厚生利用前後には、事務処理が発生する場合もあります。福利厚生導入後は、福利厚生の種類ごとに処理方法が異なるので、それぞれの制度にしっかり精通する体制を整えてください。
福利厚生を導入し、ウェルビーイング向上につなげげよう
福利厚生にはさまざまな種類があります。導入の際は自社の従業員のニーズを十分リサーチするとともに、自社に発生する負担なども見込んだ上で検討することが大切です。ぜひこの記事を参考に、従業員に喜ばれる福利厚生の種類を理解し、ウェルビーイングのさらなる向上を目指しましょう。