管理職に対し管理職研修を行うことは、本人だけでなく企業にとってもさまざまなメリットがあります。そこで本記事では、管理職研修を実施する上で意識したい事柄について解説。さらに、管理職研修の必要性やメリット、実施するタイミング、企業で実際によく見られる人気の研修テーマなども併せて紹介します。
目次
管理職研修を行うタイミング
管理職研修を効果的に行うためには、実施するタイミングが重要です。ここでは、管理職研修を行うタイミングと理由を解説します。
管理職に昇格・着任したとき
管理職研修は、従業員が管理職に昇格が決まったタイミング、または昇格直後に実施するのがベストです。管理職への昇格後、意欲の高いうちに研修を行い、管理職として必要な意識やスキルを身に付けることで、部下に対しても適切な対応ができ、仕事をスムーズに回せるようになります。
パワハラ等の問題が発覚したとき
サーベイなどの社内調査で、パワハラや業務環境に関する問題が上がってきた場合にも管理職研修を行います。
例えば「パワハラ」の疑いがある場合には、部下とのコミュニケーションの適切なとり方の研修などを実施すると良いでしょう。調査結果をふまえた研修を行うことで、管理職の意識や現場のマネジメントを変えていくことができます。
管理職研修の必要性&メリット
管理職研修は管理職自身、そして企業にとっても重要な意味を持っています。ここでは、管理職に研修が必要な理由と、管理職研修を行うことで企業側が得られるメリットを説明します。
管理職研修が必要な理由
管理職には一般従業員とは異なる役割があります。主に挙げられるのは、部署の業務管理、部下の育成・指導、職場の環境づくりなどです。また、経営側と従業員の橋渡しとして動く役割なども担っています。
しかし、多くの企業では部署の従業員とのコミュニケーションが不足していたり、一人ひとりが活躍できる環境づくりができていなかったりなど、うまくマネジメントできていないのが現状です。管理職研修はそのような管理職が必要な知識と意識を習得する研修であると同時に、管理職自身のマネジメントにおける悩みを解消する場でもあります。
管理職研修を行う企業側のメリット
管理職研修を実施し、管理職の意識や行動に変化が起こると、業務管理や職場環境の整備などにおいて適切なマネジメントが行われるようになります。その結果、現場の従業員が働きやすくなり、身体・精神・社会的に健康な状態であるウェルビーイングの充実につながるでしょう。
また、従業員のエンゲージメントが向上することで、部署や企業の生産性アップも期待できます。企業の経営方針など管理職を通じて従業員に浸透させれば、一体感のある企業づくりが叶えられます。
管理職研修で人気のテーマ
管理職研修にはさまざまなテーマがあります。ここでは、企業で管理職研修の際に取り上げられることが多い、人気のテーマを紹介します。
業務管理に関する研修
管理職のメイン業務の1つが業務管理です。部署の業務全体を把握し、部下に業務を割り振るとともに、「何を、いつまで、どのように行うか」などを指示します。
業務管理に関する研修内容は、スケジュール管理の仕方や適切な業務の割り振り方などです。また、業務改善など現在の状況や体制を見直し、より良くしていくための考え方や方法も学びます。この研修は、管理職に対して責任や自覚を促すことにもつながります。
人材育成や指導に関する研修
管理職の重要な業務として、部下の育成や指導があります。しかし、新しく管理職の立場になった従業員はそのような経験がまだ乏しいと考えられます。個々の部下の特性を理解しながらそれぞれのパフォーマンスを発揮できるように育成・指導をすることは、感覚的な対応では不十分です。
人材育成や指導方法に関する管理職研修を行うことで、適切な部下の育成方法を学び、実践できるようになります。また部下との接し方や関係構築など、コミュニケーションの方法も学べます。
コンプライアンスに関する研修
自分が管理する部署の職場環境が快適な状態となるよう、職場づくりに気を配ることも管理職の役割です。特に近年、企業コンプライアンスに関する理解は欠かせません。
コンプライアンスをテーマにした管理職研修では、パワハラ・モラハラ・セクハラといった職場で発生しやすいハラスメントへの対策、情報管理の重要性など、コンプライアンスを遵守するために身に付けておくべき内容を講義します。管理職自身のコンプライアンスに対する意識を高めるとともに、部下へのコンプライアンスに関する指導もできるようになるでしょう。
メンタルヘルスに関する研修
自身や部下が良好な心身の状態を維持しながら働けるような職場環境づくりも、管理職の重要な業務です。
研修では、メンタルヘルスに関する基礎的な知識とともに法令や制度の理解、メンタルヘルスに不調をきたした従業員への適切な対応の仕方や、部下のメンタルヘルスの状態を把握するための方法など、メンタルフォローに関する内容を学びます。また、不調を予防するためのセルフケアやラインケアについて理解してもらうことも大切です。
このほか、管理職の「感情マネジメント力」を高める研修も最近注目を集めています。詳しくは下記の記事で紹介しています。
管理職研修を行う際のポイント
管理職研修を効果的に実施するために、企業側で意識すべきこともあります。主に次のようなポイントに気を配りながら、管理職研修を計画しましょう。
管理職研修を行う目的を明確にする
管理職研修を行う上で、「何のためにこの研修を行うのか」という目的を明確にすることは非常に大切です。どのような能力を高めるために研修を行うのかが明確でないと、的確な研修テーマや内容を設定することができません。
また、現場の課題や管理職自身が抱える悩み、意識などを事前に共有しておくことで、研修の目的をお互い再認識できるでしょう。管理職研修を実施する際は、この研修を通してどのような能力を伸ばしたいのかをはっきり念頭に置き、受講者に示しておくことが重要です。
管理職のレベルに合わせた研修内容を設定する
管理職には主任・係長・課長・部長などさまざまな種類があります。管理職研修を行う際は、それぞれの役職のレベルに合った内容を考えましょう。
例えば、主任として身に付けるべき能力と、部長として身に付けるべき能力はイコールではありません。それぞれの役職に必要な内容をピンポイントで研修することにより、受講者はより自分の業務に研修内容を落とし込みやすくなります。
業務に活かせるような具体的な内容を講義する
研修の際には、どのような意識や行動をしていくべきかと具体的な内容まで落とし込んで行います。研修の失敗例としてありがちなのが、受講者が現場でアウトプットにつなげられないという点です。
テーマについて詳しく研修を実施したとしても、それを受講者が実際に業務に活用できなければ研修の意味がありません。現場で起こりうるケースを想定した実践形式のワークが盛り込まれた研修は、実際の業務でも応用イメージが膨らみやすくなります。
自社に合った研修の実施方法を選ぶ
管理職研修は、社内で行うパターンと外部サービスなどを利用して行うパターンの2種類の実施方法があります。社内で行う場合、自社の従業員が講師になり研修を実施します。研修にかかる費用を抑えられること、研修内容をアレンジしやすいことなどが特徴です。
ただし、専門的なテーマになると社内の講師だけでは研修しきれない可能性があります。外部サービスを利用した管理職研修は、幅広いテーマについての研修を実施できることが魅力です。専門的なテーマに関しても深い内容まで研修できます。
適切な管理職研修を実施し自社の成長につなげよう
管理職研修を適切に実施できれば、管理職となった従業員のマネジメント能力を効果的に伸ばすことができます。管理職が育つことで、ほかの従業員や自社の成長にもつなげられるでしょう。
また、時代に応じた管理職のあり方を学ぶためにも、管理職研修は一度だけではなく、定期的に受講の機会を設けアップデートし続けていくことが大切です。ぜひこの記事を参考に、自社に必要な管理職研修を考え、実施に向けて計画を立ててみてください。
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