組織改革は企業の成長のために必要な組織編成の変革です。働き方改革により企業の在り方が見直されている今、改めて注目を浴びています。この記事では、組織改革の定義や目的、メリットを詳しく解説。組織改革を成功させるための進め方やタイミング、導入したいサービスも紹介しますので、参考にしてください。
目次
組織改革とは
組織改革は、従業員とともに企業が長期的な成長を促すために必要な手段です。ここでは、組織改革の概要と必要性について解説します。
企業が成長を目指すための変革
組織改革とは、企業が継続的な成長を目指し、組織編成を変える手段のことです。企業が外部環境や内部環境の変化に対応し、生産性や企業成長を促すべく、組織体制や環境を根本的に変革することをいいます。
<組織改革の例>
・組織全体の目標や目的の見直し
・風土や従業員の意識改革
・企業の就業規則の変更
・業務システムのアップデート など
組織改革を実施するメリット
組織改革を行うことは、企業の成長にもつながる以前に、生産性が向上したり従業員の意欲が湧いたりなどのメリットがあります。ここでは、組織改革を実施するメリットを2つ紹介します。
生産性が高まる
組織改革により組織編成を見直すことで、仕事の流れがスムーズになり企業全体の生産性があがります。
例えば、以下のような場合です。
・1部署で完結できる仕事にもかかわらず、これまでの慣習でなんとなく2つ以上の部署にまたがっている
・本来スムーズに業務を進められる部署があるのに、別の部署の管轄になっている
このように、組織編成が上手くいかずに、仕事の効率が下がっている企業は多いです。しかし、仕事の流れや効率を重視した組織改革を行うことで、企業全体の生産性向上が期待できるでしょう。
従業員のモチベーションが上がる
組織改革で適切な組織編成にすることは、従業員個人にとってもメリットがあります。
例えば、業務内容が見直されることで無駄な作業がなくなり、仕事をスムーズに進められるようになります。長時間労働やコミュニケーション不全も改善されるため、従業員のモチベーションも上がるでしょう。その結果、従業員のウェルビーイングも満たされるようになります。
組織改革が必要なタイミング
組織改革を行いたいと思いながらも、具体的にどのようなタイミングで組織改革を行えば良いかわからない人もいるでしょう。ここでは、組織改革を行うべきタイミングを4つ紹介します。
外部環境に変化があった時
社会情勢や経済状況、市場におけるニーズの変化など、外部の環境が大きく変わり、業績への影響が懸念される時には、それに対応するために組織改革を行い、ビジネスを減速させない取り組みが必要です。
組織の編成はビジネスにおける根幹であり、経営において外せない要素です。そのため、社会の状況に応じて経営者が判断し、柔軟に対応しなくてはいけません。
新たな経営目標を掲げた時
経営目標、すなわち組織の目標が新たにできた場合も、組織編成を見直すチャンスです。目標達成を最もスピーディーに、かつ効率的に実現するための組織改革を行いましょう。
業績が悪化した時
業績不振の原因には、経済状況の影響のほか、組織間のコミュニケーション不足だったり、それぞれの組織が上手く機能していなかったりする可能性があります。また、従業員の長時間労働や職場環境の問題などにより、個人のパフォーマンスが下がっている可能性も考えられるでしょう。
このような時は、組織編成を見直すことで各部署の役割を明確化できます。また、個人の負担を軽減することで生産性アップも期待できます。
人材流出が続いた時
人材流出が続いているときは組織が上手く回っていない可能性があります。従業員の業務負担が増加したり、離職につながったりすることは、企業にとっても従業員にとっても問題です。各個人への仕事の内容や量、評価体制を見直すなどして、従業員のモチベーションを下げない組織にしていかなければなりません。
また、従業員の会社に対する満足度は、従業員向け調査で把握できます。会社への満足度を調査するには、短期間ごとに繰り返し調査を行うパルスサーベイを活用するのがおすすめです。パルスサーベイは企業に対する満足度のほか、エンゲージメントやメンタル不調などのチェックにも活用できます。
企業や仕事内容のどんなところに不満や不安があるのかなどを経過観察することで、組織の問題にも気づきやすく、組織改革のタイミングや方向性の指針の目安になるので、導入を検討すると良いでしょう。
成功する組織改革の進め方
組織改革を適切かつスムーズに進めるには、いくつかのポイントがあります。ここでは、組織改革を上手に進めるための具体的な方法を紹介します。
経営陣がリーダーシップを取る
組織改革は、会社全体を巻き込む大きな動きのため、経営陣のリーダーシップがなければやり遂げることはできません。組織改革の方向性は、思い付きではなく慎重に何度も議論を重ねながら、企業成長に最も適切なプランを練ることが重要です。
また、組織改革の実現にはある程度の時間を要するため、それまでのステップやスケジュールなどのロードマップを最初にしっかりと検討する必要があります。組織改革の方向性を示した後も、各部署や担当者に任せっぱなしにするのではなく、定期的に進行状況などを経営陣が把握し、臨機応変に対応しましょう。
組織改革の目的を明確にする
組織改革の目的を明確にすることも成功へと導くポイントです。まずは、自社の現状を外部環境・内部環境ともに分析し、目指すべき姿を確立しなくてはいけません。また、経営陣だけでまとめるのではなく、従業員の声を聞くことも大切です。ワークショップなどを行いながら、組織の未来を従業員とともに考え、組織改革の目的を見つけていくと良いでしょう。
従業員へ組織改革の重要性を共有する
組織改革を進める上で最も大きな課題になるのが、組織改革に対する従業員の理解促進です。従業員にとっては、「組織改革は経営陣がやるもの」と遠い存在に思っている場合もあり、自分ごととして捉えづらい一面があります。
しかし、織改革は経営陣・従業員とともに一丸となり推進していくことが重要です。この理解を浸透させるためにも、企業側は従業員に対してメッセージをしっかり発信しましょう。
組織改革を行うことで企業成長にどんな影響を与えるのかを伝えるのはもちろんのこと、「どんな点が働きやすくなるのか」「作業効率があがるのか」など、従業員にとってのメリットを伝えることで、組織改革への同意を得られやすく、改革後も同じ目的に向かって走っていきやすくなります。
効果を実感しやすいものから始め、社内で共有する
組織改革は効果を実感しやすいものから始め、社内で積極的に称賛したり、共有したりすることが大切です。長期的な目線が必要ですが、効果が実感できないと組織改革が失敗に終わってしまう可能性があります。また、効果が実感できないと、従業員の意欲も下がってしまうかもしれません。
それを避けるためにも、優先順位をつけ、成果が見えやすいものから始めると良いでしょう。成果がわかれば、従業員のモチベーションが維持しやすくなり、その内容を次回の組織改革に活かすこともできます。
組織改革の具体策
最後に組織改革の具体策を紹介します。経営方針の見直しや、企業ビジョンの刷新に伴う従業員のモチベーションアップアイデア、人事組織の強化など、企業の状況に応じてぜひ参考にしてみてください。
A社:顧客満足度向上のため、経営方針や組織を刷新。黒字化へ。
A社では採算を重視してきた結果、営業部が集めた顧客ニーズと商品開発部が推したい商品の強みにズレが生じ、売上が低迷していました。そこで黒字化を図るため、組織や経営方針を見直す以下のような組織改革を実施しました。
<組織改革で行ったこと>
1. 役職別でなく各事業ごとに部署を統合し連携を図った
2. 採算に合わない事業は撤退し、強化事業に人材を投資した
3. 顧客満足度を向上させるために、カスタマーサクセス部を新たに設置した
4. 事業部では、顧客の声を知るためのユーザーテストを重視した
B社:成長に向け企業ビジョンを刷新。従業員のモチベーションアップへ。
B社では企業としてのステージを1段階アップすべく、企業が掲げるビジョンを刷新。従業員のモチベーションおよび生産性アップを図るため、組織改革を実施しました。
<組織改革で行ったこと>
1. 企業としての方向性やビジョン・行動指針を経営会議等で話し合い決定
2. 企業トップや幹部が積極的にビジョン・行動指針のメッセージを日頃から発信
3. ビジョン・行動指針が簡潔に記載されたカード(クレドカード)を作成。常時携帯できるクレドカードを作ることで、従業員が日々の行動においてビジョン・行動指針を常に意識できるようにした
C社:企業を支える人材確保をすべく、人事組織を創設。強い組織へ。
ベンチャー企業であるC社では、各部署との兼務による人事活動を行ってきましたが、いよいよ人材の流出が勃発し、育たない状況となりました。人事組織と、人材確保および育成が急務になり、以下の改革を実施しました。
<組織改革で行ったこと>
1. 専門の人事部を設置し、求める人材、育てたい人材を定義。新卒採用や社内の人事活動なども役割を分担し、各々が目標にコミットできる環境を作った
2. 公平性と合理性を兼ね備えた新たな人事評価制度を設け、従業員のモチベーションアップを図った
3. 人事主導で外部講師を招いた勉強会や研修を実施し、インプットの機会を提供した
組織改革を成功させて、企業のさらなる成長を目指そう
組織改革は企業が成長していくために必要なものであり、それは結果的に従業員のウェルビーイングにも繋がります。企業の成長や従業員の意欲向上を成功させるためにも、組織改革のタイミングや進め方への理解を深めながら、組織改革を成功へと導きましょう。