メンタルヘルス研修は、従業員がメンタルヘルスの正しい知識を得て、心身ともに健康で働ける環境をつくるために行われます。研修を行うことは、従業員の心の健康だけでなく、企業にも大きなメリットをもたらすでしょう。今回は、メンタルヘルス研修を行う目的やメリット、人気の研修テーマを始め、メンタルヘルス研修を成功させるポイントも紹介します。
目次
メンタルヘルスとは
メンタルヘルスは直訳すると「精神保健」、少しやわらかく表現するのであれば「心の健康」を意味します。 厚生労働省の健康情報サイトでは「精神面における健康のこと」と定義されています。
参考:厚生労働省e-ヘルスネット「メンタルヘルス」
現在、メンタルヘルス不調により、仕事が上手く進まなかったり、会社を休職・退職したりする人が増えています。メンタルヘルス不調はうつ病やパニック障害、不安障害、適応障害などの疾患のリスクがあり、無視できない問題です。
また、健康経営やウェルビーイングの観点、そして企業の生産性向上を考える上でも、メンタルヘルス不調を減らす重要性はより一層高まっています。 従業員のメンタルヘルスを整え、いきいきと働いてもらうことは、企業としても重要です。このような背景から、メンタルヘルス不調と上手に向き合うための「メンタルヘルス研修」への注目度がアップしています。
メンタルヘルス研修を行う目的
メンタルヘルス研修の目的は、従業員にメンタルヘルスについての正しい知識を伝えることです。例えば、メンタルヘルス不調との向き合い方や、メンタルヘルス不調を発生させないための職場環境の在り方を学びます。さらに、従業員同士でコミュニケーションの在り方を学び、企業全体でメンタルヘルスに対しての共通認識を持つことによって、前向きな気持ちで働ける環境づくりに向き合えるようになります。
メンタルヘルス研修を行うメリット
メンタルヘルス研修をすることで、従業員自身のメンタルヘルス不調との向き合い方が上手になります。これにより、心身ともにすこやかな状態を維持しやすくなり、結果的に離職率の低下や生産性の向上にもつながるなど、企業にとってもさまざまなメリットがあります。ここでは、メンタルヘルス研修を行うメリットを詳しく見ていきます。
従業員自身がストレスに気づきやすくなる
メンタルヘルスやストレスに関する正しい知識がつくと、自分のメンタルヘルスの不調にもいち早く気づきやすくなります。 心の健康に対するセルフケアを自ら行い、ストレス軽減への対処をするなど、ストレスとうまく付き合う方法を知ることは、従業員自身のウェルビーイング実現にもつながります。
メンタルヘルス不調者の早期発見
研修を通してメンタルヘルス不調がどんな状態か知ることにより、自身だけでなく、周囲のメンタルヘルス不調の人のサインにも気づきやすくなります。メンタルヘルスの不調は、身体的な病気と違って気づきにくいものです。そのため、組織全体で早期に不調者を発見できる環境づくりや、メンタルヘルスについての知識を持つことが重要です。メンタルヘルス不調者を早期発見して対策を行うことで、うつ病や適応障害などの予防にもつながるでしょう。
離職率の低下
メンタルヘルス不調者の増加は、離職率が悪化する可能性があります。人間関係が好ましくない、残業が多いといった職場環境は、メンタルヘルス不調の原因となり、離職にもつながりやすくなるでしょう。
企業側は、メンタルヘルス研修を通してメンタルヘルス不調の原因を知り、それを取り除くための職場環境づくりを進めることが重要です。働きやすい環境が整うと、結果として離職率の低下も期待できます。
生産性の向上につながる
メンタルヘルス研修を行い従業員の心の健康を保つことは、組織の生産性向上にもつながります。心身ともに健康であれば、自然と仕事のパフォーマンス力も向上し、結果的に生産性の高い組織づくりに役立つでしょう。
メンタルヘルス研修で人気のテーマ4選
メンタルヘルス研修は、ストレスへの対処方法からメンタル不調を生まないための職場環境づくりなど、さまざまなテーマで行われます。従業員全体・管理職向けなどさまざまなセグメントに分けることで、より受講者にとって有意義な知識をインプットできます。ここではメンタルヘルス研修で人気のテーマを4つ紹介します。
ストレスへの理解と対処法
ストレスについての知識や、ストレスに自ら対処するための具体的な方法を習得します。メンタルヘルス不調を防止するには、ストレスマネジメントの意義を知ることが大切です。座学だけではなく、ワークショップを取り入れることで、役職や立場、部署などの特有のストレスに対する双方の理解が深まります。具体的には、以下のようなワークショップが挙げられます。
<ストレスマネジメントでのワークショップ例>
・グループワークで意見交換を行う
・ロールプレイングなどで実際に起こった問題の対応を行う
・上司・部下それぞれの立場を体験するロールプレイングを行う など
メンタルタフネス度の向上
メンタルタフネスとは、困難に直面しても、悪い感情に振り回されずに前向きに対処できる能力のことです。「ストレスを感じやすい考え方のクセ」を認知行動療法にもとづく理論で整理し、改善を図ります。さらに、メンタルタフネス度が高い人の特徴や行動を知り、自身のメンタルタフネス度を高める方法も学べます。メンタルタフネス度が向上すると、ストレスを自分のなかでコントロールする力が身につき、メンタルヘルスの向上にもつながるでしょう。
【管理職向け】部下のメンタルヘルス不調の早期発見とアプローチ方法
管理職として必要なメンタルヘルスの基礎知識や、部下のメンタルヘルスの問題に対する適切なアプローチ方法(ラインケア)を習得する研修です。
具体的には、メンタルヘルス対策のメリットやリスク、安全配慮義務などの基礎知識を学びます。また、メンタルヘルスの不調を抱える部下を見極め、早期発見ができるように、部下への声のかけ方や話の聴き方・専門家へのつなぎ方を学ぶなど、適切なアプローチ法を身につけます。
マインドフルネス研修の実施
マインドフルネスとは、過去や未来へ思考を向けずに「現在に自分の意識をおき、この瞬間に集中する」ことです。余計な雑念を払拭し、今やるべきことや自分の気持ちに集中します。
研修を通してマインドフルネスを知ることにより、メンタルヘルスの良好な保ち方を習得できます。例えば、呼吸法や瞑想方法を知ると、思考の整理や上手なリラックスができるようになるでしょう。また、集中力が高まれば仕事の効率も上がるため、仕事上のストレスも軽減します。
メンタルヘルス研修を成功させるポイント
メンタルヘルス研修を単発で実施するだけでは、メンタルヘルス不調者が減るといった結果にはたどりつけません。研修を実施する側がメンタルヘルス対策に取り組む真剣な姿勢を表明し、研修内容を常にアップデートし続けることが重要です。最後にメンタルヘルス研修を成功させるためのポイントを紹介します。
メンタルヘルス対策の方針を表明する
企業はメンタルヘルス研修という単独の施策だけではなく、従業員に対してメンタルヘルス対策の方針をしっかりと示すことが大切です。経営理念や経営方針、中長期計画といった企業全体の公式計画に盛り込んで表明すれば、従業員の理解や協力が促され、メンタルヘルス対策への効果が期待できます。企業がメンタルヘルス対策に本気の姿勢を示すことは、従業員の安心感にもつながるため、積極的に発信していきましょう。
メンタルヘルス研修の中身を定期的に見直しする
メンタルヘルス研修は一度座組を組んだらそれを使いまわすのではなく、常に現時点での自社の従業員に必要な研修にアップデートすることが重要です。そのためには研修後にアンケートを実施し、その内容をふまえてブラッシュアップしていくのも良いでしょう。
例えば、アンケートで「座学で一方的に聞いているだけで飽きてしまった」といった声があれば、次回はワークショップやゲーム方式を取り入れてみるなど、社員が前向きに参加できるような研修を積極的に取り入れていくことが大切です。
メンタルヘルス研修を外部機関に委託する
メンタルヘルス研修は、とてもセンシティブな領域の内容を含んでいます。そのため、研修を行う側の人が間違った知識や不適切な表現の発信に難しさを感じ、精神的に追い込まれる場合もあります。
このような場合、メンタルヘルス研修のプロフェッショナルである専門会社と一緒に取り組めば、成果につながる研修が可能です。例えば、社歴や部署、役職などによって、ストレスの感じ方やメンタルヘルス不調者への接し方などは異なるため、研修の内容を調整する必要があります。専門会社にアドバイスをもらうことで、有意義な研修につながるでしょう。
アドバンテッジリスクマネジメントでは、法人様向けに各種研修をご用意しています。メンタルヘルス対策の社員研修プログラム一覧はこちら。
メンタルヘルス研修で、従業員の心の健康を守る職場づくりを
メンタルヘルス研修は、従業員自身のメンタルヘルスとの向き合い方や、メンタルヘルス不調者を生み出さないための職場づくりを学べる重要な研修です。研修を通してメンタルヘルスに関する知識と対処法を発信し、心身ともに健康的に働けるウェルビーイングな職場づくりを目指しましょう。