2024年の企業計画

【健康経営銘柄2024】評価基準まとめ! 選定企業の事例も紹介

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「アドバンテッジJOURNAL」編集部

「アドバンテッジJOURNAL」編集部

健康経営銘柄は、経済産業省と東京証券取引所が共同で健康経営の取り組みに優れた企業を選定し、公表するものです。第10回となる健康経営銘柄2024では、27業種から53社が選定されました。今回は健康経営銘柄2024のおさらいとして選定プロセスや選定基準、主な変更点などについて詳しく解説します。併せて、選定企業における取り組み事例もご紹介します。

健康経営銘柄とは?

手のひらに浮いたアイコン

健康経営銘柄とは、経済産業省と東京証券取引所が共同で従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる企業を選定し公表するものです。

健康経営に関わる新たな顕彰制度を創出・推進することで健康経営に取り組む企業を見える化し、社会的に評価される環境の整備を目指して2015年から始まりました。健康経営は、日本再興戦略、未来投資戦略における「国民の健康寿命の延伸」に関する取り組みの一つでもあります。

「健康経営」と「健康経営銘柄」については、以下の記事で詳しくご紹介しています。

健康経営銘柄2024の選定について

パソコンで作業している人の手元

経済産業省は、2024年3月11日に「健康経営銘柄2024」として27業種53社を選定しました。「令和5年度健康経営度調査」の回答結果をもとに、健康経営優良法人(大規模法人部門)申請法人の上位500位以内の上場企業から、1業種1社を基本として選定しています。

本調査の回答企業数は3,520社(法人)となり、前年度から351社(法人)の増加となりました。そのうち上場企業は1,203社、日経平均株価を構成する225社の8割以上が回答しており、健康経営の取り組みは年々広がっているといえます。

健康経営銘柄2024の選定プロセス

健康経営銘柄2024は、以下のような流れで選定されました。

プロセス①
「令和5年度健康経営度調査」の実施(令和5年8~10月)

プロセス②
回答企業の中から、以下の条件に合致する企業を候補として選出
・健康経営度が上位500位以内
・健康経営優良法人(大規模法人部門)に申請している
・選定要件を満たしている
※重大な法令違反等がある場合は除外
※TOKYO PRO Market上場会社は対象外

プロセス③
財務省指標スクリーニングや調査回答に基づく加点を実施

※原則として、33業種ごとに原則1社を選定
該当企業がない場合、その業種からは選定しない
ただし、各業種最高順位企業の平均より優れている企業についても銘柄選定候補として選出

プロセス④
健康経営銘柄2024の公表

健康経営銘柄2024の選定基準

健康経営銘柄2024の主な選定基準は以下の通りです。

  1. 重大な法令違反等がない
  2. 健康経営優良法人(大規模法人部門)申請法人の上位500位以内である
  3. ROE(自己資本利益率)の直近3年間平均が0%以上または、直近3年連続で下降していない
    ※ROEが高い企業には一定の加点を行う
  4. 前年度の回答有無、健康経営の推進に関してどのような内容を公開しているか、社外への情報開示の状況についても評価し、一定の加点を行う

健康経営銘柄2024の選定基準、および健康経営優良法人2024(大規模法人部門)の認定要件は以下の通りです。

出典:ACTION! 健康経営『第9回健康投資WG』

健康経営銘柄2024で重視された評価基準

赤ペンで チェックされたチェックシート

健康経営優良法人の申請企業数は、有償化を経てもなお増加しています。続いては、令和5年度の健康経営度調査票の変更点を踏まえて、健康経営銘柄2024において特に重視された評価基準を分析します。

自社を超えた健康増進に関する取り組みの強化

2024年度から健康増進に関する取り組みを、自社だけではなく取引先へも働きかけることが求められるようになりました。発注先や調達先、販売代理店などといった取引先(顧客を除く)について、健康経営および労働安全衛生の実施状況を把握するだけではなく、取り組みを推奨し、健康経営の普及に努めることが必要とされています。

健康経営度調査においては、取引先に対しどのようなことを推奨しているか、あるいはノウハウの提供や共有、健康経営の取り組みを共同で実施しているかなどを問う項目が設けられました。

情報開示のさらなる推進

情報開示に関する取り組みがさらに詳細に問われるようになりました。

  • 企業単位の特定検診・特定保健指導の実施率が評価対象に
  • プレゼンティーイズム、アブセンティーイズム、ワーク・エンゲージメントのいずれかの業務パフォーマンス指標について、「直近の実績値」「測定方法と開示URLの回答」「測定人数と回答率の開示」がホワイト500の認定条件に
  • 健康経営推進体制の内容について、産業医や経営層などとの連携が開示されているかが評価ポイントに
  • 労働安全衛生・リスクマネジメントの開示内容に関する設問が追加(2025年以降は必須要件となる可能性が高い)

社会課題への対応の強化

近年の社会課題への対応強化も重要視されています。

  • 「適切な働き方の実現」と「仕事と育児・会議の両立支援」の両方に取り組むことが認定要件に
  • 女性特有の健康課題に関する対応を促進するため、婦人科健診・検診への補助をはじめとした関連施策の参加状況への回答が必須に
  • 女性特有の健康問題の認知向上・行動変容促進の取り組みの両方について回答していることが認定要件に
  • 生産性低下防止の取り組みとして、花粉症と眼精疲労に対する具体的な支援・取り組み状況を問う項目が追加

健康経営の国際展開の推進

健康経営の国際規格化を目指し、海外従業員(駐在員、現地雇用者)への取り組みを問う項目が新設されました。

  • 「適切な働き方の実現」と「仕事と育児・会議の両立支援」の両方に取り組むことが認定要件に
  • グローバルでの健康経営の実施方針についての設問を追加
  • グローバルで、自社の方針に基づき健康経営を実施している範囲についての設問を追加

※2024年は評価の対象となっていない

健康経営銘柄の選定基準は毎年同一ではなく、変更される可能性があります。当社アドバンテッジリスクマネジメントでは、健康経営銘柄選定を目指す企業さまにお役立ていただける対策ハンドブックを毎年発行しています。
【2024年版の対策ハンドブックはこちら】

健康経営銘柄2024に選ばれた企業

ガラス張りの高層ビル

2024年3月に健康経営銘柄に選定された企業は以下のページから確認できます。第10回目となる今回は、27業種53社の企業が選ばれました。

経済産業省「健康経営銘柄2024」選定企業一覧

健康経営銘柄2024に選定された企業の取り組み事例5選

オフィスで体操する社員たち

最後に、健康経営銘柄2024に選定された企業の中から5社の取り組み事例をご紹介します。

第一工業製薬株式会社

第一工業製薬株式会社は、「従業員の健康の維持・増進は個々の生産性向上が企業価値向上につながる」という考えのもと、健康経営目標であるアブセンティーイズム、プレゼンティーイズムの低減、ワークエンゲージメントの向上を目指した各種施策を展開しています。

運動を始める動機付けとなるよう体力年齢を測定する体力測定会を開催しているほか、運動習慣の定着を目的として年2回のウォーキングイベント、朝のラジオと15時のオリジナル体操を毎日実施。またメンタルヘルスケアに関しては、不安を抱きやすい新入社員と新任管理職に対して体験カウンセリングの機会を提供し、カウンセリングのハードルを下げる取り組みを推進しています。さらに、マッサージを受けられる体験会を全社で行っています。

TOTO株式会社

TOTO株式会社は、「一人ひとりの個性を尊重し、いきいきとした職場を実現します」を企業理念に掲げ、従業員と家族が長く充実した社会生活を過ごせるよう、長期的な視点で健康経営を推進しています。従業員の健康意識を高めることで自主的に健康管理・健康増進に取り組んでもらい、健康リスクの低減を目指しています。

定期健康診断の有所見者やメンタル不調者、病気療養中の従業員に対しては、重症化予防・再発予防に取り組む一方で、健康な人が将来有所見者とならないよう生活習慣病予防を推進するなど健康リスクを層別し、階層ごとに施策を展開。さらに、イントラネットを活用した健康に関する情報発信や禁煙支援、体力測定会、ウォーキングイベントなど遊び感覚で楽しめる健康イベントも実施しています。

テルモ株式会社

テルモ株式会社は、国内のグループ会社・健康保険組合も含めた横断チーム「テルモ健康経営推進チーム」を構成し、密な連携や効果検証を行いながらさまざまな活動を実施しています。近年は国内にとどまらず、共通スローガン「Your Health, Your Happiness, Our Priority」を掲げ、グローバルで健康経営を推進。テルモが重要と考える5つの共通テーマを設定し、各拠点でユニークな取り組みを進めています。

伊藤忠商事株式会社

伊藤忠商事株式会社は、従業員一人ひとりが健康であり、能力を最大限発揮できる環境整備が重要であるとし、独自の健康経営を推進しています。取り組みの一つである「がんと仕事の両立支援」では、国立がん研究センターと提携した検診の実施や、在宅勤務・勤務日選択制など治療と仕事を両立するための多様な働き方の整備などを実現。特に、就労世代における女性のがん罹患率は男性の2~3倍であることを踏まえ、子宮頸がん検診の費用補助を行うといった女性活躍推進の観点からも取り組みを進めています。

株式会社アドバンテッジリスクマネジメント

当社株式会社アドバンテッジリスクマネジメントは、「健康経営銘柄2024」に3年連続で選定、 「ホワイト500」に7年連続で認定されました。健康経営全体のKPIとして「健康診断有所見率」「プレゼンティーイズムによる生産性損失割合」「アブセンティーイズム」「ワークエンゲージメント」を設定。KPIの数値改善につながる「運動」「食事」「睡眠」「禁煙」の4つの生活習慣指標改善を大切にしています。自社のシステムを活用し、ストレスチェックやサーベイ、健診結果などのデータをクロス分析して課題を見える化、健康経営のPDCAサイクルを効果的に回しています。

当社で行っている取り組みなど、詳細については以下の記事でご紹介しています。

健康経営を推進し企業価値を向上

オフィスでミーティングする社員たち

健康経営に求められる内容は年々アップデートされており、単に自社の従業員の健康管理にとどまることなく、ステークホルダーあるいは社会全体へ好影響を与えるような取り組みも重要性を増しています。健康経営への取り組みを評価する健康経営銘柄に選定されることは、企業価値の向上につながります。2024年の評価基準を踏まえて、2025年の選定に向け戦略を立てていきましょう。

当社アドバンテッジリスクマネジメントが提供する「アドバンテッジ健康経営支援サービス」は、健康経営度調査票の作成にあたりカギとなる「推進計画」の土台づくりをサポートしています。導入企業(健康経営優良法人の認定申請を行った企業)すべてが「健康経営優良法人2024」に認定。そのうち約3.5割が上位500社の『ホワイト500』に認定、2社が「健康経営銘柄2024」に選定されました。

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【筆者プロフィール】

「アドバンテッジJOURNAL」編集部

「アドバンテッジJOURNAL」編集部
導入企業数3,140社/利用者数483万人のサービス提供実績と、健康経営銘柄に3年連続で選定されたアドバンテッジリスクマネジメントの知見から、人事領域で関心が高いテーマを取り上げ、押さえるべきポイントやつまずきやすい課題を整理。人事担当者や産業保健スタッフの“欲しい”情報から、心身のヘルスケアや組織開発、自己啓発など従業員向けの情報まで、幅広くラインアップ。「ウェルビーイングに働く」ためのトピックスをお届けします。

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