外国人従業員に向けたカウンセリングについて書かれたイラスト

外国人従業員のカウンセリング利用傾向と特徴的な相談事例を紹介【多言語に強い!アドバンテッジ相談センター】

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「アドバンテッジJOURNAL」編集部

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厚生労働省の調査「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ(令和5年10月末時点)」によると、外国籍労働者数は過去最高を更新し、対前年増加率は 12.4%と、前年の 5.5%から 6.9 ポイント上昇したという結果が出ています。外国人労働者の数は、今後も増加する可能性が高いと言えるでしょう。したがって、労働者のメンタルヘルス対策を考える上で、国籍や言語を問わず支援が行き届く体制を整えていくことはきわめて重要と考えられます。

参考:「外国人雇用状況」の届出状況(令和5年 10 月末時点)

国や地域によっては、労働者のメンタルヘルス対策としてカウンセリングが普及し、日常的にカウンセリングを利用している方も少なくありません。実際、弊社カウンセリングサービスをご利用になる外国人従業員のなかにも、もともと利用に対する心理的ハードルが低く、比較的早い段階で自己開示をされるような特徴が見られる方もおられます。過去には外国人従業員の方が直接勤務先の日本企業の人事に、EAPカウンセリングの利用を強く所望したことにより弊社カウンセリングサービスが導入された事例もあります。

外国人従業員の中には、我々日本人からすると全く想像できない所で環境や文化の違いに戸惑いや不安を覚え、怒りや悲しみ、孤独といったネガティブな感情を抱くことがあります。そのような状態でカウンセリングを利用する環境がなく、結果的にメンタルヘルス不調に繋がるケースも見られています。

今回は弊社における外国人従業員のカウンセリングの利用傾向や、特徴的な相談事例とその介入についてご紹介します。当記事の最後に、弊社の多言語カウンセリングサービスについてもご案内します。

外国人従業員に向けたカウンセリングについて書かれたイラスト

外国人従業員の利用傾向について

弊社カウンセリングサービスをご利用の外国人従業員は、アジア、ヨーロッパ、中東…と様々な地域の出身で、国籍も多岐にわたります。企業によっては外国人従業員の国籍比率の偏りもありますが、総じて英語教育を受けている方、国際的に様々な国で就労経験がある方が多いため、自国に限らず世界のどこで働くかをこだわらない方が多い印象があります。

皆様に少しイメージがつくよう、外国人従業員の利用傾向について以下にまとめてみました。

1)会社から利用勧奨をされるとすぐに予約する行動力がある。
2)初めてのご利用でも躊躇なくメンタルヘルス不調やプライベートに関する相談ができる。
3)メンタル疾患の既往がある場合、自分に必要な治療をよく理解していたり、個人カウンセリングの経験や心理療法について知識がある方が多い。
4)カウンセリングを気軽に利用し、必要なときだけ、情報収集の手段や気持ちの発散のために使う傾向が強い。

これらの傾向は日本人従業員と対比して言えることです。日本人従業員は総じてカウンセリング利用に対して慎重で、初回からは自己開示をせず、本当に話したい課題について相談しない傾向があります。逆にカウンセラーとの信頼関係を構築してからは、表層的な問題だけではなく、深層的な課題に至るまで様々なことを安心して話す特徴もあります。

外国人従業員の相談事例

ここからは、弊社カウンセラーにご相談いただいた外国人従業員の具体的な相談事例を紹介します。下記事例は個人が識別されないよう実際のケースをいくつか組み合わせ、加工しています。

事例1)メンタルヘルス不調のケース

グローバル企業のソフトウェアエンジニアとして勤める欧米国籍のAさん。日本の生活が気に入り、生活の基盤を日本で作りつつありました。そうしたなかで担当していたプロジェクトのリーダーの交代が決まり、急遽Aさんがリーダーになりました。

元々特定の業務を自分のペースで進めたかったAさんにとってプロジェクトの多くの業務調整に回ることは強いストレスになりました。次第に集中力が落ち、睡眠も十分にとれなくなり、パニック発作が起きました。

Aさんは過去にもパニック発作の経験があったので、今回の発作が深刻であると判断し、すぐに弊社のWeb面談カウンセリングを予約しました。

弊社のカウンセラーは、まずAさんのパニック状態に関する情報を丁寧にヒアリングしました。過去の既往歴、治療過程を聞き取った上で直近の発作の状態や頻度、その背景にあった勤務や家庭状況までを聞き取りし、情報の齟齬がないかを確認しました。そして英語で受診できる医療機関の情報を提供しました。

初回カウンセリングの後、Aさんは医療機関を受診し、発作時に飲む頓服薬を処方されました。Aさんの発作は改善しましたが、薬の副作用について心配だったため、「服薬以外で対処できることを知りたい」と再度カウンセリングを予約しました。

2回目のカウンセリングでは発作時の対処法について話し合いました。カウンセラーは呼吸法やマインドフルネスなどの対処方法を具体的に提示し、カウンセリング中に一緒に実践するなど、Aさんに発作が起きたときにいつでも対処できるようにサポートしました。

またカウンセリングを継続利用するなかで、今回発作が起きた背景には仕事の量や内容の問題だけではなく、元々希望していた働き方と大きく異なるキャリア志向のミスマッチ感がありました。さらに過剰に人を気遣って気疲れをしてしまう性格傾向の問題があったことにも気づきました。そして本来希望していたキャリア志向とは異なっても、今回の経験がキャリアの幅を広げる貴重な経験になったと気づき、新しいキャリア展望を抱きながら前向きに仕事へ取り組むことができるようになりました。また適切な自己主張法を学ぶことで過度に気疲れすることもなくなり、緩やかに復調していかれました。

服薬や対処法で危機的状況を回避できることを知るだけではなく、カウンセラーとのやり取りで安心感を得ながら冷静に自分の状況を振り返ることが奏功した一例です。

事例2)異文化カウンセリングのケース

続いて就職を期に東アジアから日本に移住されたBさんの事例です。Bさんは自国の大学で日本語を専攻しました。語学だけではなく、日本の教育制度や文化を学ぶにつれ、日本の生活に強く憧れ、日本での就職活動を開始しました。大学卒業と同時に日本企業で働き始めることになりました。

初めての海外生活は Bさんにとって刺激的で興味深く、休日は趣味やスポーツに打ち込み、アクティブに過ごしていました。一方、日本企業の職場にはなかなか順応できませんでした。職場にBさん以外の外国人は一人もおらず、じろじろと見られていつも居心地が悪いと感じていました。また日本人同士がこそこそと話をしたり、ランチ会や飲み会があっても自分だけ誘われなかったり、周囲から孤立している感覚がありました。弊社に初めて来訪した際には、職場の同僚に対する怒りや悲しみ、孤独感情を率直にカウンセラーに伝えました。

まずカウンセラーは自国から日本という全く別の環境へ来たことへの勇気を称えました。職場で適応できないことについては決して否定をせず、むしろこのような環境下でBさんのように感じることは至極当然であると、相談者の立場に立ち、共感的にお話を伺いました。

また日本人がどのように物事を考えて、どのように行動することが多いのかを一般的な例を用いて説明しました。例えば日本人が周囲を見て瞬時に察することができるのは、幼少期からの教育制度があると説明しました。小学校の授業中、一人の生徒が席に着かない時、教師はその生徒を注意するだけではなく、「〇〇さんが席につくまで、皆で待ちましょう」とクラス全員の生徒に言うことが多々あるという例を用いて、日本ではたとえ個人的な問題であっても、集団責任になってしまうことや、これらを日常的に経験することで「周囲は自分に何を求めるのか」、「自分は何をすべきか」を相手が何も言わなくとも感じ取れる、いわゆる「空気を読む」ことが身に着くことが多いのだと説明しました。

ひそひそ話をしている同僚についても、「本音」と「建前」を使い分けている日本人の特性を伝え、それはネガティブ面だけではなく、その場の空気を読む日本人ならではの気遣いかもしれないともお伝えしました。

互いの文化や特徴について話し合うカウンセリングを継続していく過程で、Bさんの日本人に対する考えや捉え方が変化し、Bさんの行動自体にも変化が出てきました。Bさんは、積極的に職場の同僚・先輩に話しかけるようになり、自分のことを理解してもらうため、自己開示をするようになりました。次第に周囲とも良好なコミュニケーションができるようになりました。

これは異文化を意識し、互いの違いについて学習することで、自分の枠に当てはめて考える以外の捉え方ができるようになり、最終的には異文化の職場に適応して仕事に励むことができるようになった一例です。

まとめ

日本での外国籍の従業員数は、政府の支援、グローバル化の影響、国内の人手不足という複数の要因により増加し続けています。弊社でも外国人従業員の利用は年々増加傾向にあります。

外国籍従業員の方のご利用を見ていると、一般的に日本人よりもカウンセリング利用に対する心理的ハードルが低く、単に利用できるサービスとしてお考えになる方が多いと考えられます。貴社福利厚生の一環としてEAPカウンセリングを広く社内共有することで、比較的スムーズにご利用につながると思います。また専門家に限らず社会全般に対しても自分の希望をしっかりと言語化できる方が多いので、短期集中で利用できることに利用価値を見出す方も多くいらっしゃいます。

弊社では、様々な言語を使用する外国人従業員に対応するカウンセリングにも力を入れています。(弊社プレスリリース「ニーズが高まるカウンセリングの多言語対応を強化 自動翻訳ツールの導入で外国人従業員の満足度向上へ|アドバンテッジリスクマネジメント」)

面談カウンセリングでは、英語・中国語・韓国語・ポルトガル語に対応し、Web面談カウンセリングでは、英語・中国語・韓国語による対応に加え、自動翻訳システムを用いてビジネスで使用する100言語に対応しています。自動翻訳システムとはWeb面談カウンセリングの際に母国語の字幕が出るシステムです。外国人従業員が慣れ親しんでいる言語でお話いただきながら、様々な課題解決のご支援をしています。

例えば、言語や文化の違いなどの異文化への課題はもちろんのこと、日本語以外で受診できる医療機関の情報提供や社内そしてプライベートの人間関係など様々な課題についても、カウンセラーがご一緒に整理をしながら解決を目指してご支援しています。

今回の事例にお示ししたように、外国人従業員への支援方法としても有効なカウンセリングに関して、ご関心のある方はお気軽にこちらからお問い合わせください。

皆様のお問い合わせやご意見をお待ちしております。

アドバンテッジリスクマネジメント
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【筆者プロフィール】

「アドバンテッジJOURNAL」編集部

「アドバンテッジJOURNAL」編集部
導入企業数3,140社/利用者数483万人のサービス提供実績と、健康経営銘柄に3年連続で選定されたアドバンテッジリスクマネジメントの知見から、人事領域で関心が高いテーマを取り上げ、押さえるべきポイントやつまずきやすい課題を整理。人事担当者や産業保健スタッフの“欲しい”情報から、心身のヘルスケアや組織開発、自己啓発など従業員向けの情報まで、幅広くラインアップ。「ウェルビーイングに働く」ためのトピックスをお届けします。

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