エンプロイー・エンゲージメントとは
エンプロイー・エンゲージメントとは、従業員エンゲージメントとも呼ばれ、従業員が会社に対して抱く愛着を指す言葉であり、会社への帰属意識や理念・ビジョンへの共感、貢献意欲、職務満足などを内包する概念を意味します。
エンプロイー・エンゲージメントは、1990年頃、アメリカを拠点とする世界最大の総合電機メーカー「ゼネラル・エレクトリック社」のジャック・ウェルチ元会長がその重要性を指摘したことで、注目を集め始めました。エンプロイー・エンゲージメントは、従業員が会社の待遇や職場環境への満足度を指す従業員満足度や、会社への忠誠を指すロイヤルティとは少し異なります。
エンプロイー・エンゲージメントが向上すると、従業員は意欲的に仕事に取り組み、企業の成長も意識して働くようになります。企業に愛着や愛情を持って自発的に仕事に取り組むため、積極的な提案なども行うようになり、結果的に生産性を高めることにつながります。エンプロイー・エンゲージメントはこれからの企業に必要な概念と言えるでしょう。
エンプロイー・エンゲージメントの重要性
日本でエンプロイー・エンゲージメントが注目されてきた背景の一つに、日本型雇用システムの崩壊があります。平成の初期までは「御恩と奉公モデル」とも表現されるように、企業が雇用を保障するかわりに従業員は会社に尽くすという関係性が成り立っていました。
しかし、バブル崩壊以降、徐々にこのモデルが立ち行かなくなります。欧米に比べれば長期雇用が前提ですが、大企業においても定期的に中高年社員のリストラや、非正規社員の比率の増加により人件費を削減して利益を向上させてきたケースもあります。
そのため、バブル崩壊後に入社した世代は終身雇用を前提とせず、転職を通じて自身のスキルアップ、キャリアアップにつなげることに意欲的です。
優秀な人材に定着して活躍し続けてもらうためにエンプロイー・エンゲージメントの向上が重要になります。
エンプロイー・エンゲージメントを高める3つの要素には「企業理念・ビジョン、バリューの浸透」「正当かつ適切なフィードバック、透明性のある人事評価」「正しい現状分析と的確なPDCAサイクル」があります。具体的な方法や企業の取り組み事例についてはこちらの記事で解説しています。
https://www.armg.jp/journal/197-2/
エンプロイー・エンゲージメントの向上で、人材定着率や労働生産性が高まり、チームワークをよりよくする効果をもたらします。企業と従業員が相互的な信頼関係を構築し、個と組織のパフォーマンスを高めることが企業の継続的な成長に必要な要件であることを企業は認識し、歩みを進める必要があります。