メンタルヘルスとは
メンタルヘルスとは直訳すると「精神保健」、もっとやわらかく言うと「こころの健康を保つ」ということです。今、多くの企業でこころの健康が保てなくなって仕事ができなくなり、会社を休職したり、退職したりする人が増えています。
わが国ではうつ病で病院に通う人は100万人を超えているといわれています。企業においても多くの労働者がこころの健康の問題を抱えているといえます。
メンタルヘルス対策における取り組み
メンタルヘルス対策における取り組みには、一次予防・二次予防・三次予防があります。
一次予防:メンタルヘルス不調の未然防止
そもそも「不調を発生させないこと」が最も重要です。どのルートで従業員全員にケアを届けるかがポイントとなります。従業員に対しては、セルフケアやラインケアに関する教育を行ったり、ストレスチェック結果のフィードバックを行い、状態の「見える化」と状態に応じた打ち手を支援したりすることが考えられます。
また、従業員が相談できる窓口を確保するとともに、発信を強化し、その情報を浸透させていくことも重要です。
二次予防:早期発見と適切な対応
不調を速やかにキャッチし、それらをこぼさず対応できるよう、広く網を張る施策をとりましょう。具体的には、管理職に向けた部下の不調の早期発見・ケアに関する情報提供や、短スパンで行うサーベイやセルフチェックなど、状態の「見える化」の支援が挙げられます。
在宅勤務下では難しさもあることと思いますが、ラインケアは引き続き重要です。勤怠の乱れなどに着目し早期に発見できるとよいでしょう。1on1の仕組みも広がっていますが、仕組み化した上で、スキルの部分としていかに部下の話を聞くか、業務に関わる情報を吸い上げるだけではなくて背景にある気持ちまで寄り添って聞くか、という傾聴力なども今一度見直したい部分です。
また、早めに専門家につなぐことも重要です。ストレスチェック後の医師面接やカウンセリングなどが従業員に使われやすい状況であるか、今一度見直しましょう。
三次予防:再発防止・職場復帰支援
ここでは「再発させないこと」が要となります。外部リソースも適切に活用しながら、できる部分から着実に行っていきましょう。人事部門ができる対応として、職場復帰プログラムを整備することが求められます。必要な事業場内産業保健スタッフの確保が難しい場合は、衛生推進者または安全衛生推進者を事業場内メンタルヘルス推進担当に選任するとともに、都道府県産業保健総合支援センターなど、事業場外資源を積極的に活用するのも良いでしょう。
コロナ禍ではオンラインでのリワークプログラム(eリワーク)の活用も広がりを見せています。人事・休職者双方が負担の少ない方法を探していくことも、重要な観点と言えるでしょう。