EQとは
EQとはEmotional Intelligence Quotientの略称で、「感情をうまく管理し、利用できる能力」を指します。EQは、IQ(Intelligence Quotient=知能指数)に対する概念として「こころの知能指数」や「感情知性」と呼ばれ、ビジネスシーンにおいて必要となる対人コミュニケーションの基礎能力といわれています。
メンタル不調の多くが対人コミュニケーションの問題に起因することから、個々人のEQを向上させることがメンタルヘルスに関する問題の根本解決につながるものとして、その重要性が唱えられています。
EQは下記の4つの能力から構成されています。
① 感情の識別:自分と他者の感情を認識する能力
② 感情の利用:ふさわしい行動を取るために感情を活用する能力
③ 感情の理解:自分や他者がそのような感情を得た原因や、その後の感情を推察する能力
④ 感情の調整:次の行動に合わせて、自分の感情を調整する能力
これらの能力が高いこと、またそれぞれのバランスがいいことが、EQを適切に機能させる秘訣です。
EQの高め方
EQは遺伝などの先天的要素が少なく、後天的に高めることができる能力です。日常生活のなかに適切なトレーニングを組み入れて実践することでEQを高めることができるのです。
EQを高める第一歩は、「EQというのは能力であり、EQを発揮することは自分の能力を発揮することだ」という意識を持つことです。「自分はいま能力を発揮しているのだ」と考えることができれば、「相手はいまどんな気持ちだろうか」と意識的に相手の感情を識別するようになりますし、相手に共感したり、自分をモチベートしたりすることにも積極的になります。
次に大事なことが、自分のEQを知ることです。4つの能力は緊密な関連を持ち、常に互いを補完し合うように連係して動いています。つまり、適切にEQが機能するためには、EQを構成する4つの能力がバランス良く発揮されることが重要になります。自分のEQを知るとは、この4つの能力がどのようなバランスになっているかを知るということです。
そして自分の考え方・行動の癖を把握したうえで、悪い癖を直し、自分で感情をコントロールできるようにトレーニングを積みましょう。感情のトレーニング期間を設けることで、物事の捉え方、行動の仕方が習慣化し、結果としてEQが高まり、自分自身の感情を上手にコントロールできるようになります。そしてそれができるようになると、おのずと仕事のモチベーションも高まり、職場の人間関係もうまくできるようになります。
企業におけるEQの活用例としては、採用時にEQ能力を測ることで求めている人材とのミスマッチをなくす、また採用後にEQ向上のための研修を実施して能力を高め生産性を上げる、といった取り組みなどが挙げられます。特にマネジメント層のEQを向上させることは、リーダーシップの発揮やハラスメント防止だけでなく、組織全体のマネジメントを円滑にすることにもつながり、企業全体としての生産性を高めることが期待できるでしょう。