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ストレスチェックの実施費用……一体どれぐらいかかるの?【ストレスチェック徹底活用コラム】

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「アドバンテッジJOURNAL」編集部

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ストレスチェックでは何に費用がかかるのか?

いざストレスチェック制度を導入しようというときに問題となるのが費用です。ストレスチェックを実施すると、どんなことにどれぐらいの費用が発生するのでしょうか。ストレスチェックにかかる費用のうち、大きな割合を占めるのが人件費です。

衛生委員会などにおけるストレスチェックの実施方法・体制についての審議、質問票(調査票・ストレスチェックシート)や面接指導申出書などの準備、ストレスチェックの実施、医師による面接指導、受検結果をもとにした集団分析など、さまざまな行程で人件費が発生します。

特に、「実施」と「面接指導」は事業者が行うことはできません。各事業場の産業医に依頼するにしても、ストレスチェック制度への対応という新たな契約を結ばなければならないケースもあります。また、産業医が常駐していない事業場が、外部の医師に「実施者」や高ストレス者への面接指導を依頼するのであれば、当然費用はかさんできます。

ストレスチェックに必要な費用は、対象となる労働者の数や労働者にストレスに関する質問を行う際、紙を用いるのか、それともWebを利用するのかという実施方法、努力義務ではあるものの職場環境の改善には欠かせない集団分析を実施するかどうかによっても変わってきます。

もし、自社独自のストレスチェックシステムを導入しようとすれば、そのシステムを開発するのに数千万円の費用が発生することも考えられます。

高ストレス者に対するケアも会社負担?

ストレスチェックは事業者に課せられた義務であるため、ストレスチェックにかかる費用は全て事業者の負担となります。健康診断と同じ扱いとなり、会計処理する際は福利厚生費として損金計上することが可能です。

福利厚生費は、「全ての従業員が対象」かつ「常識の範囲内」の金額であることが損金計上のための条件となっていますので、労働安全衛生法で定められたストレスチェックの対象となる労働者全員に対してストレスチェックを実施するようにしましょう。

ストレスチェックの結果、高ストレス者と判定され、「実施者」が必要と認めた労働者が受けられる医師による面接指導に関しても、事業者に実施義務があります。

そのため、面接指導にかかる費用は事業者が負担しなければならず、費用がかかることを理由に高ストレス者に対して面接指導を受けることを推奨しないことは、労働者の権利を侵害することになります。

このほか、セルフケアのための研修費用や相談窓口などの設置・運用費用も全て事業者の負担となります。ストレスチェックは労働安全衛生法で定められた事業者の義務であり、労働者の心身の健康を守るためのものですから、当然といえるでしょう。

ただし、医師による面接指導の結果、専門機関で治療を受けることを勧められ、実際に高ストレス者が治療を受けた際の治療費は高ストレス者本人が負担します。健康診断と同様、治療費や通院費を会社が払う必要はありません。

しかし、業務における強い心理的負荷によって精神障害を発病したと判断されると労災認定される場合もあり、その際には事業者が休業補償の責任を負うことになります。こうした事態を防ぐためにも、ストレスチェックの実施を通じてメンタルヘルス不調の防止に努めることが重要です。

実際の費用相場はどのくらい?

基本的にストレスチェックにかかる費用は、事業場の規模とどの程度のことを、どんな精度で、どこまで行うかによって変わってきます。

厚生労働省は、ストレスチェックの受検や結果の出力などができる「厚生労働省版ストレスチェック実施プログラム」を無料で提供していますが、基本となる57もしくは23項目の質問しか設定されておらず、各事業場の業務内容や職場環境に合わせた質問項目を追加することはできません。

また、プログラムを実行するに当たって、事業場における環境構築は事業者が行わなければなりません。

事業場の特性により適したストレスチェックを行って職場環境の改善を図ったり、環境構築の手間を省いたりするために、ストレスチェックに関わる業務を専門業者に外部委託する場合の費用は、1人当たり数百円~1,000円前後が相場となっています。

実施方法(紙もしくはWeb)や質問項目の数などによって費用に差が出てきます。

また、ストレスチェックの実施費用において最も考慮するべきなのが、高ストレス者が医師による面接指導を受ける費用です。依頼する医師にもよりますが、1時間の面接につき3~5万円程度かかります。

厚生労働省が公表している高ストレス者の判定基準は、ストレスチェックを受けた労働者の10%程度が高ストレス者となるように設計されています。実際に医師の面接指導を受ける労働者は高ストレス者のうちさらに10%前後といわれていますが、いずれにせよそうした費用もあらかじめ見込んでおく必要があります。

実際には、これ以外にも「実施者」の代行費用や受検結果の保存にかかる費用、集団分析にかかる費用などが発生します。ストレスチェックそのものにかかる費用は比較的少額で済む場合がありますが、高ストレス者が多くいると、その分、医師による面接指導の費用などが膨らむことを念頭に置いておいておきましょう。

なお、アドバンテッジリスクマネジメントでは「アドバンテッジ タフネス」シリーズとして、ストレスチェック実施サービスを行っており、1人当たり年額480円~4,200円までのプランを用意しています。

対応する業務の内容、品質などは外部委託業者によってさまざまですので、外部委託をする場合には条件を十分に吟味し、各事業場に合ったサービスを選択することで費用を抑えることができます。

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【筆者プロフィール】

「アドバンテッジJOURNAL」編集部

「アドバンテッジJOURNAL」編集部
導入企業数3,140社/利用者数483万人のサービス提供実績と、健康経営銘柄に3年連続で選定されたアドバンテッジリスクマネジメントの知見から、人事領域で関心が高いテーマを取り上げ、押さえるべきポイントやつまずきやすい課題を整理。人事担当者や産業保健スタッフの“欲しい”情報から、心身のヘルスケアや組織開発、自己啓発など従業員向けの情報まで、幅広くラインアップ。「ウェルビーイングに働く」ためのトピックスをお届けします。

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